八百屋さんの花 *明日、水が売ってなかったら*
ちかくの八百屋さんが、
お店のかたすみに、
だまって花を一種類、置いている。
八百屋さんは、季節の花を
だまって選んで仕入れてきて置いてる。
たいがいひとたば、150円。
それを、母が、だまって買ってきて、
だまって、2階のダイニングに活けてくれる。
わたしは、だまって、
その花に、朝日があたるのを眺めて、
だまって、写真を撮ったりしている。
一本では、なく一束 150円。
↑このスイトピーも。
このチューリップも。
この花も。
このバラも。
ルピナスまで置いてるときがある。
ターシャんちの入り口に咲いてるやつ。
さすがにこれは、ちょっと高くて350円☆
季節の花を一種類、だまって
店の片隅に置いて売る。
だまって、野菜と一緒に買ってくる。
そういうふうなものをつくろう。
そういうふうに仕事しよう。
そういうふうに生きよう。
と思う。
ネットも、TVも、たぶんしゃべり過ぎだ。
大事なものは、いつも黙っている。
そして、その八百屋さんの片隅の大事なものを
かんたんに、見過ごして、液晶表示に目をこらす。
もちろん、身を守ること、情報をさがすことは必要だし、
不正なものは、正し続けるべき。
でも、ネットニュースも、TVのニュースも、言ってないことがある。
われわれは、充分に恵まれている。
できごとに、ともだちに、ことばに、作品に、自然に恵まれている。
幸せはたしかにあったし、いまもある。
幸せのかたちは誰も決めていないし、
なにひとつ失ってはいけないわけではない。
情報と風評と映像とむごさに、現実に、
心がぐったりしていたら、
八百屋さんの片隅の花を思い出して、
正気を取り戻す。
東京の浄水所の水に、放射能が確認され、
東京都は、乳幼児のいる家庭に、水を提供するらしい。
必要としているひとのものをうばいとってまで
充足してもしかたない。
もし、明日、水が売っていなかったら、
八百屋さんで、だまって季節の花を買ってこようと思う。
※コメさん、お誕生日、おめでとう。