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「すごいものをみた」*NHKの岡本太郎の2つの番組*

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(※ネット上からお写真おかりしました。)



昨日で終わったNHKでやっていた4回シリーズの「TAROの塔」と
さっきやっていたBSの「瀬戸内寂聴が語る究極の愛 岡本太郎と敏子」
観終わって、妻がひとこと。


「すごいものをみた」



ああ、何からどう書いていいのかわからないし、

太郎さんと敏子さんのどの強烈なフレーズを引用して、

しったかぶりをして、

上手に構成すればいいのかわからないし、

そんなことなにもしなくてもいいとも思うし。。




太郎さんのお母さん、
岡本かの子さんは、

歌人で、気性が激しく、自分が創作中は、
小さな太郎を、はしらにしばっておく。


家庭が貧しく、かの子さんは、太郎と入水自殺しようとする。

夕陽の大きな川に小さな太郎は、とびだしていき、
大声で叫ぶ、

「お母さんを食べるな!!!」




かの子さんは恋人をせまい家庭に同居させる。

画家を目指していたが挫折し、新聞の風刺画で成功した
太郎さんのお父さんは、
かの子さんと恋人が食事をして
2階にあがったあと、
ぼんやりとかの子さんの似顔絵を描く。


パリに留学し、自分の表現に悩む太郎さんを
かの子さんは、パリのアパートで一喝する。



「不遇と孤独をおそれていては、なにも手に入らないわよ」




ドラマのいちばんかっこよかったところは、
松尾スズキ演じる太郎さんが、
万博の記者会見に望むところ。


テーマ館の総合プロデューサーを引き受けた
太郎さんが、万博のテーマ
「人類の進歩と調和」に関してスピーチする。



「はじめにわたしはこの万博のテーマに反対である。

人類の進歩と調和、なんてクソくらえだ。

人類は進歩なんかしていない。

確かに宇宙へ行く科学技術が発達したが

肝心の宇宙を感じる精神が失われてるじゃないか。

それに調和といったって、

日本の常識で言えば、お互いが譲り合うということだろ。

すこしづつ自分を殺して

譲り合うことでなれ合う調和なんて卑しい。」


(記者がここで詰問する)
それでは、万博のプロデューサーを引き受けた
理由はなんですか。


目を見開いて太郎さんが答える。

「危険だからだ。

人間は瞬間瞬間で自分の進むべき道を選ぶ。

その時私はいつだって、

まずいと判断する方、危険な方にかけることにしている。

極端な言い方をすれば、

おのれを滅びに導く、

というより、

自分を死に直面させる方向、

黒い道を選ぶということだ。

無難な道を選ぶくらいなら、

わたしは、生きる死を選ぶ。

それが、わたしの生き方とスジだ。」






松尾さんの演技は、ネットでも、
のりうつったといわれてるけど、
このシーンはほんとにかっこいい。

松尾さんの声質、声のトーン、抑揚、

まるで、なんども聞きたくなるかっこいい
ロックの曲みたい。

これ観たら、演技に憧れる子がいるのではないか。

もっというと、

松尾さんが、ではどうぞ、と司会者にいわれて
憮然とマイクに向かう、ところから、
すでに、かっこよすぎる。
挑戦と覚悟がみなぎっている。


第一話は、終わり方も凄すぎる。

太郎が、太陽の塔のラフスケッチを

できた!といって敏子に見せる。

敏子がいう「なんだこれは」

太郎が答える「べらぼうだ」


そして、エンドロール

美輪明宏さんの

エディットピアフ「NON, JE NE REGRETTE RIEN」の渾身のカバー。


凄い。



あきらめないで、ものつくってるひと、いまでも
いるんだなあ。




このドラマを観終わって、

「瀬戸内寂聴が語る究極の愛 岡本太郎と敏子」

を観たら、びりびりとくる。


寂聴さんは、親交のあった、というレベルではなく、
実質的に三角関係の渦中のひと。

敏子さんにアングルがあてられる番組。

ひとがどう感激し、どう嫉妬し、どう自分のありかたを探し、
見つけ、どう生をまっとうするか。


「岡本太郎」というのが二人のユニットであることが
はっきりとわかる。
(ジブリの宮崎さんと鈴木さんの関係とも似てる)



年老い、病んだ、太郎さんがいう。

「ぼくが“岡本太郎”でなくなったら自殺するよ」

敏子さんが答える。

「それなら、わたしが殺してあげるわよ」



岡本太郎と言う表現の炎を燃やし続けてきたふたり。

これほど、強い関係性、と
これほど、愛に満ちたことばがあるだろうか。


「それなら、わたしが殺してあげるわよ」








敏子さんは、メキシコで放置されていた
「明日への神話」を見つけ出す。
そして亡くなる。

最後のセリフは、

「また、太郎さんに呼ばれたわ」


見事な仕事っぷり。
見事な生きっぷり。




太陽の塔とほぼ、同時期に制作された
原爆をテーマとしたこの巨大な壁画は、

渋谷駅の通路に置かれている。

絵の環境としては、湿気と振動で、最悪な場所だろう。

でも、ここに飾ってくれてよかった。



この前気づいたんだけど、

公園通りを、タワレコから、駅に向かって、

夜歩くと、遥か前方正面の渋谷駅の

ガラス張りの通路に「明日への神話」が

浮かび上がって見える。



太郎さんは、敏子さんと初めて会った時
太郎さんの絵をみた敏子さんに聞く、

「きみは燃えたか?」




焼けつくように、焦がれるように
燃えたかどうか、そのことだけに価値がある。

TV出演でも、彫刻でも、絵画でも、
岡本太郎の炎が燃えていることが大事。


太郎さんの有名なセリフ。

芸術とは、うまくあっては ならない
きれいであってはならない
ここちよくあってはならない



これは、言葉のレトリックで、
つまり上手い下手や、評価や不評価、
好き嫌いや、正しい間違い、
ではなく、きみの炎が燃えているどうか。

大声でなくても、派手でなくても、
静かでも非力でも非難されても孤独でも
たしかにきみの炎は燃えているか。



そういう問いかけを、

「明日への神話」はしている。



災害と放射能の渦中で、

表現というものがうざく、ひよわに見えがちなこの時に、

原爆をテーマにした、

この絵の強さと激しい生命感は、凄い。

この現実に、タメ張って対峙する、巨大な炎。


太郎さんの声が聞こえる気がする。

「芸術、ナメちゃだめだよ」

「そして、人間は、すごいんだぜ」


はい、やっとわかりました。

芸術が。






ドラマの最後、常磐貴子さん演じる敏子さんのセリフ。


「岡本太郎は死んでなんかいない。

まだ、闘いは終わっていないのよ。」





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by ayu_cafe | 2011-04-03 13:48 | Trackback | Comments(2)
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Commented by TM at 2011-04-04 10:15 x
あはは、芸術が人間より強くなってどうするの!
てこの絵に向かって言ってやりたいけど、
人間は芸術にぶちのめされて起き上がることも
必要かもしれませんね。
人間のために、もっともっと強くなれ、芸術。
あぁなんて偉そうな…(笑)
Commented by ayu_cafe at 2011-04-06 18:04
TMさん、人間は芸術にぶちのめされて
起き上がることも必要、
まったくですね。
強い芸術、強い建築、って元気がでます。
そういうものって確かにあるんですよね。