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「日付はどうしますか?」*石巻での話*

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仙台のまぎさんが、
アコーディオンを弾くTACAさんと
行かれた石巻でのこと。

何度読んでも日付のところで
ジンときます。



まぎさんのブログから。
http://nisimaggie.exblog.jp/page/8/






石巻での話

「被災地での音楽支援が受け入れられるのか?今、このタイミングで大丈夫かしら?」と
正直に言うと私は不安を感じていました。きっとtacaくんも同じ思いだったと思います。
しかし実際に行って、生の演奏をお届けすることができて、
本当に良かったと確信できた、エピソードを一つご紹介します。

最初の日は石巻のビッグバン(石巻市河北総合センター)で
tacaくんは避難所支援ライブを行いました。
丁度皆さんが夕食を済まされた後、大きなTVの置かれたロビーには
老若男女さまざまな方が集い、多い時には50人ほどの方々がいらっしゃったでしょうか。
会場をご紹介くださった赤十字病院のボランティア医師として
勤務されていらっしゃる松本先生もお忙しい中駆けつけてくださり、
iPhoneからライブ配信をしてくださいました。

tacaくんは、この日はオリジナル曲からは柔らかなメロディのものを選び、
また子供も楽しめる様な「となりのトトロ」のテーマ曲なども織り込んで選曲、
アンコールでは、スティービー・ワンダーの'Isn't she lovely'を演奏しました。

するとスティービーの曲が流れ始めた途端、
私の傍から「よしっ!」という声が聞こえました。
演奏が終わってから、その声の主、50代らしき男性に「お好きな曲ですか?」
と話しかけたところ、「大好きなんです。レゲエとかもね。」
と嬉しそうに話してくださいました。
そしてしばらくすると、一枚のCDを持って、戻って来てくださり
「スティービー・ワンダーが大好きでアルバムは全部持ってたんですよ。
でも津波で全部流されてしまって・・・これ一番好きな一枚なんですけど、
これだけ車の中にあって手元に残ったんです。これにサインしてください」
と差し出されました。

「えーーー!!!スティービーのCDに(tacaの)サインをしていんですか!???恐れ多い!!」
とtacaくんも、私もびっくり!

それでも「はい、是非お願いします。」と仰るので、tacaくんはその男性のお名前と
一緒にサインをし、「日付はどうしますか?今日(4月13日)でいいですか?」と
聞いたところ、「3月11日にしてください。」と。

そして男性は'taca'とサインされたそのスティービー・ワンダーのCDを
大事そうに抱え、そして熱く握手をして
「ありがとうございました。今日聴けて本当に嬉しかった。ありがとうございました。」と
何度もおっしゃって涙と笑顔で顔をくしゃくしゃにしていました。


まだまだ大変な日々が続きます。5000戸の仮設住宅が必要なところ、
せいぜい100戸づつしか建てることが出来ないそうなので、
長期に渡る避難所生活を強いられる方がこれからも沢山いらっしゃいます。
その日々のストレスや不安は、どれほど大きなものだろうかと想像するだけでも、
胸が詰まる思いです。

確かに音楽やお花では家を建てたりすることはできないけれど、
それでも心に光を届け、心の支えとなることはできるんだと改めて確信いたしました。

今回お力添えくださった松本先生もまさにそうした、
音楽支援のプロジェクトを推進されているそうです。音楽の力、人の輪がこれからも
ますます広がり大きな働きとなりますように。。。
by ayu_cafe | 2011-04-26 09:31 | Trackback | Comments(0)