現地時刻。ハバナ、キューバ。*問題なのは、なにを持っているかではなく、 なにを目指しているか*
以前、NHKでゲバラのTVをやっていた。
ゲバラは、キューバ革命を成功させた後、
社会主義政権の立ち上げに尽力し、
それからしばらくして、再び、ボリビアの軍事政権と戦うために、
ゲリラ兵士として、現地のジャングルに潜入。
そこで自分の小部隊と一緒に生涯を終えた。
ゲバラは、若い頃医師を目指していた。
番組の中で、ゲバラの日記(か、手紙)が紹介されていた。
それは、彼の両親に向けられていた。
『お父さん、お母さん、僕はいい医者にはなれませんでした。
けれども、少しはいいゲリラ兵士になれたと思います。』
NHKのナレーターは、番組の終わりくらいで、
静かに言い放った。
「問題なのは、なにを持っているかではない。
なにを目指しているか、なのだ。」
アメリカが国交を断絶しているので、
キューバへは、カナダを経由し、
メキシコに一泊して、合計40時間くらいかかった。
メキシコから飛び立った小さな飛行機が、
キューバの上空で、ゆっくりと高度を落とし
緑豊かな大地が近づいてきた時のことを
一生忘れないと思う。
それは、フィデルとチェと仲間たちが、
アメリカの間接支配によるギャンブルとドラックと貧困を一掃した大地だった。
あたたかな日射しと子供たちが走り抜ける目抜き通りのつきあたり、
ホテル・サンタ・イザベラでチェックインをすませる。
こじんまりとしたコロニアル風の品のいいホテル。
エレベーターは鳥かご式で、従業員はみんな愛想がいい。
見上げると、ラテンアメリカの植物が、
あるいは、不屈のゲバラの魂が、
ようこそ、と、きわめておおらかに出迎えてくれる。
きっとそうだ。おおらかでなければ、
革命なんて起こせない。
どこかばかみたいにおおらかで、未来を信じる純粋な気持ちが、
ほんとうに自由と平等を実現してしまった。
キューバで、この植物に会えてよかったな、と思う。