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耐え抜くためのブラウンシュガー。

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マーティンスコセッシ監督の
シャインアライト。

ニューヨーク、ビーコンシアターでの
還暦なのに、エネルギーの洪水のような
ローリングストーンズのライブドキュメント。


終盤、昔のTV番組での
インタビューが挟み込まれる。

ミックジャガーは、
若くて化粧をしまくり。


インタビュアー
「やめようとおもったことは?」

ミック
「あるよ。気分がのらないとき。
問題があるとき。

刑務所に、入れられたとき。」


インタビューアー
「刑務所?」


ミック
「うん、あのときは、壁を挟んで隣に
いるキースに、おれたちもうおしまいだ、
諦めようって言ったんだ。

そしたらキースに、

冗談じゃない、絶対打ち勝つんだっ

って一喝されたよ(笑)


それで、耐え抜こう、

って思ったんだ。」




インタビューアー
「60歳になっても続けてる?」



化粧しまくりのミックジャガーが
答える。

「もちろんさ」


インタビューアーが笑いながら確かめる。
「本当に?」


ミック
「本当さ」


番組のその場にいる観客から
嘲笑の笑いが起こる。



次の瞬間、場面が
ビーコンシアターにかわり、

60歳を超えたキースリチャーズが
ギターを低く構え、
雷鳴のようなブラウンシュガーのイントロを轟かす。








この映画の日本公開日、
初日の朝イチの初上映回を
六本木ヒルズで見た。


このブラウンシュガーのイントロのところで、号泣しそうになって、
こんな朝から号泣なんてできない、
と必死で堪えた。



2011年3月の震災直後、
NHK BSブレミアムでは、
はじめての
映画枠でこの映画をかけた。

余震速報がテロップで
ガンガン入る中を

耐え抜いた人間たちが、
なにかとても重たいものを
テレキャスターとハイハットで
ぐんぐん、ロールさせていた。





音楽が、花が、絵が、映画が、
美しい言葉が、美しい建築が、
美しい盛り付けの料理が、

なぜあるか。


そんなの、耐え抜くために決まってる。


現実が、あまくあたたかいものだなんて、
誰も言っていない。


さ、耐え抜こう。

音楽と花と言葉とともに。
by ayu_cafe | 2012-01-06 05:58 | Trackback | Comments(4)
Commented by のん at 2012-01-12 18:22 x
現実が、あまくあたたかいものだなんて、
誰も言っていない。

本当にそうですね。
「いっそ水の流れに身をまかせ、流れ落ちてしまえば楽なのにね・・・」って、中島みゆきの歌を思い出しました。

どんなに便利に豊かになったって、
結局は花や音楽や言葉に励まされているんですよね、私たち。
Commented by ayu_cafe at 2012-01-14 04:59
のんさん、
生活や人生が安易に
明かるく楽しいものという
宣伝、やめて欲しいですね。

けずりだすものなんでしょうね、
蜜のようなものを。

やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく。
Commented at 2012-02-29 01:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ayu_cafe at 2012-03-05 06:47
2012-02-29 01:58の鍵コメさま
ブログのスエーデンの旅に、
同行させてもらっていたら、お返事が
遅れてごめんなさい。
あの雑貨屋さんやばいですね。
わたしもテルミン演奏してみたい。

ありがとうございますね。
いろいろなひとがいろいろな
ところで、耐え抜いているんだろうなあ、
と思いました。

作品では、ねこ(ふりかえり)が
特に好きです。