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「静かな夏の旅」について

撮影の間、お守りのように写真集を一冊鞄にいれていた。荒木経惟さんの「センチメンタルな旅1971-2017-」。写真って要はこれかな、なんて思って持っていくことにした。撮影は急に決まって3日くらいで準備した。まずストーリーを決めた。夏の真ん中で無為で無口で愉しみに満ちた静かな時間を過ごす夏の旅。撮ってみたい場所がいくつかあったので東京、箱根、湘南のロケ地を選び工程表をつくった。ちひろさんは苦労して、でもすぐに服を選んでくれた。ずっと雨で寒くて最高だった。最後にタンゴ喫茶でちひろさんがストールを椅子に巻きつけ席を立った。もらったストールも返すね、と最後にいなくなるのどう?というので、なんでそんな悲しい設定するのかと思いながら撮るといい絵が撮れた。ハッシュタグで静かな夏の旅とつけながら、短いフレーズと写真をツィートした。徐々に状況がドロドロで悲しくなってハッシュタグだけ冷静に同じタイトルが続いていると面白いと思った。動画にするときはそれをイントロとアウトロにわけ、わかりやすく構成した。アウトロをつくっているときはずっとフラカンの深夜高速を聞いていた。震わせて行こうぜ、ってなんてフレーズなんだ。終わりがやりきれなかったので、クレジットの後に次の運命をほのめかすパートをつけた。マーベルの映画みたいに。




「静かな夏の旅」


by ayu_cafe | 2017-08-21 09:44 | Trackback | Comments(0)