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最後の頼みの綱、最初の勇気。

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花を見て、可愛らしい、とは思いません。
女性っぽいとも思いません。

9月のはじめに、私の地方では、
大雨が降り、激しい風が吹きました。
電車は不通になり、すぐ近くの川では、
周辺2万世帯に避難勧告が出され、
私のクルマの古いシートも
ざっくり引き裂かれました。

でも、一晩中大雨と嵐に
直撃され続けた庭の花達は、
翌朝こそ、すこしくたっとしていたものの
すぐに、姿勢を正し、
何事もなかったかのように
風にそよいでいました。
泣き言のひとつも言わずに。

そして、花達は、もうじき、
咲ききり、枯れ果て、死んでいきます。
泣き言のひとつも言わずに。

私は、花達のことを
可愛らしい、だけ、とはとても思えません。
(すくなくとも、一晩中激しい雨に
 打たれ続けるなんて、私には無理だ。。)

花達は、
ほとんど会話が通じなくなって、
私のことも認識してるかどうかわからない
祖母を喜ばせ、部屋を明るくさせる
最後の頼みの綱であり、

いまだに、仕事のプレゼンの時に、
手も声もふるえてしまう
ふがいない私にとっての最初の勇気です。

庭に花を咲かせ続けている
祖父母や、両親、叔母からは、
長い授業を受けている気がします。
終わらない永い授業を
受けている気がします。
by ayu_cafe | 2007-09-29 23:43 | 花と樹と庭のこと | Trackback | Comments(6)
Commented by ne-san at 2007-09-30 06:41 x
最後まで「キレイ」という言葉を引き出すための「花」
花には人それぞれ違った意味があるのかもしれないけど
どんな存在だとしても、花っていいよね。
そこに咲いていてくれるだけで
いろんなものを貰えるような気がする。
Commented by apoi at 2007-09-30 09:05 x
わが家の庭にも、こんな色とりどりの花が咲いていればいいなぁ…
と、いつも楽しませていただいています。
花は逞しい。ほんと、私も同感です。
なかなか名前が覚えられないので…
花好きとはとても公言できないのですが(笑)

ayuさんのお庭を見て
なんとなく梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を
思い出してしまいました。

わが家の今年のヒットは、花畑から苗を掘り起こして
わけてくれるお花屋さんが、オマケでつけてくれた
小さな芙蓉のような花です。
名前、教えてくれたのに、忘れてしまいました(笑)。
花が咲き終わった後、
種を守る緑の風船のような果実(?)ができるんです。
フウセンカズラを初めて見たときと同じくらいの
ニンマリ…でした。
Commented by ayu_cafe at 2007-10-01 00:44
ねーさん、
「きれい」って、いい言葉だよね。
あたまとか使ってなくて。

そこにいてくれるだけで
いろんなものを貰える。。
って、人もそうかもしんない。
願わくば、そういう風に、もっと
ニュートラルに、もっとぶっとく
いろいろなものとつきあえると
いいんだけど。。
Commented by ayu_cafe at 2007-10-01 00:52
apoiさん、ありがとうございますね。
私も花の名前、すぐに忘れてしまいます。
でも、ほんとは、花の名前なんて、
どうでもいいですよね(笑)
“好き”に知識とか必要ないし。。

『西の魔女が死んだ』、
これ、検索してみたんだけど、
おもしろそうですね!
さっそく本屋さんに行ってみます。
教えてもらった本を探しに本屋さんに
行くのって、幸せなことのひとつです。
なんだか、木の実をさがしに
森に入って行くような感じ。。

その花屋さん、いいなあ。
花屋さんのオマケ、って言葉自体、
いいなあ。



Commented by at 2007-10-10 00:06 x
あ~~~なんか眠れぬ夜に感動した。
マスターの文章。
そして、緑色がやわらかいねぇ。
ここには絶対いるよ、妖精が。
Commented by ayu_cafe at 2007-10-22 14:41
Jさん、ありがと。
妖精は、どこにでもいるはず。
こっちがきりきりしてると
こわがって出てこれないんでしょう。
眠れぬ夜。。。ま、そういう夜もあります。
夜だから、ねなければならいということも
ないので。。
ところで、妖精も眠れる夜とかあるのかな。。
そういうこと考えてると
なんだか、眠くなってきます。。