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カテゴリ:京都の刃先( 2 )

京都の刃先 2 水温よりも冷たい、くちびるの感触。

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ビール、冷酒、お茶といった、きんと冷えた飲み物を注ぐ。
手の入った豊かな凹凸が、サアっと曇り
見た目にも冷たさが増す。

驚くのは、くちびるに触れた瞬間。

飲み物の冷たさが、口の中に入った時よりも
喉を通る時よりも、確実に冷たく感じる。

この前、うちのおばさんに冷たいお茶を入れて出したら、
飲もうとした時、声を出して驚いていた(笑)

このくちびるにひやりとくる瞬間がたまらない。


感覚的にくちびるが冷えると全身が冷える
感じがする。喉より、胃より。


暑い夏に涼を堪能する贅沢。



泣く子も黙る(←ふるいたとえ方)京都の老舗、
「有次」の職方として経験を積んだ
寺地茂さんの作。



京都のつくりものは、
丹念につくられたものは、
暑いとか、寒いとか、つらいとか、いらつくつか、かなしいとか、
現状に愚痴を言ったりしない。

ちょいと楽しみませんか、と
日常を、季節を、雅へ誘う。
by ayu_cafe | 2009-08-22 22:12 | 京都の刃先 | Trackback | Comments(0)

新シリーズ 京都の刃先 1

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京都祇園、白川通りを少しのぼった先。
凛と佇む町家のひとつが「尾張屋」さん。
古い薬屋さんか、無愛想な駄菓子屋さんのような
奥行きのない静かで暗く、時間が積み重なった店内。

売られているのは、香り。
こちらのものは、どれもほのかで、ひかえめ。

特に気に入った香りが、写真の2つ。
はじめて、右側のお香の名前を見たとき、
軽く息が止まった。

「月待ち雪」

この雑念を冷気で殺傷するような圧倒的な叙情、
静かで甘い緊張感、無駄なく研ぎすまされた言葉の切れ味。

この名前に、京都の文化の入り口があり、
同時にすべてがあると思った。

ある京都の本の帯には、
「都がその名の通り“平安”だったことは
かつていちどもない」と書いてあった。

ある京都の写真集には、
女優さんが、
「孤独や辛辣といったものを
知性や品性といったものに育むのが京都」
とコメントしていた。

京都で和む、という境地に私はまだ達していない。
混沌とする世の中と、混沌とするこころに
美しくあることで、拮抗してきたのが京都の文化。
その文化の鋭い刃先をつきつけられて感じるのは、
畏怖と緊張、そして、生きる力。


それにしても、
「月待ち雪」と同じレベルの詩情に満ちたネーミングが、
海外にいくつあるんだろうか。


「尾張屋」さんは、京都祇園、白川通りを少しのぼった先。
18時すぎには、店じまいがはじまります。




京都の刃先 1
by ayu_cafe | 2008-06-02 01:09 | 京都の刃先 | Trackback | Comments(6)