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<   2009年 10月 ( 23 )   > この月の画像一覧

風にゆれる感情の宇宙。

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庭の花を見ていると
毎日ちがう表情をしてるように感じます。

それは、花が変化してるわけではなく。
見るこちらの気持ちがかわっているからかな、と思います。


能面みたい。
笑っているようにも、泣いているようにも見える。
あのドラマで白洲正子さんも言ってました。


この芙蓉も、見る人によっては、
哀しく感じるかもしれません。
官能的な生命の悦びを感じるかもしれない。
エゴを感じるかもしれない。
謙虚を感じるかもしれない。


ということは、すべてを内包しているのかもしれません。

花のそのたたづまいの中に、あらゆる感情の宇宙を。



逆に考えると、感情の宇宙というのは、ひとつだけで、
哀しみも悦びもいっしょくたなものかもしれません。

深い深い悦びは、哀しみにつながっていて、
深い深い哀しみは、悦びにつながっているのかも。
エゴをつきつめると、謙虚になったり。。


だからすぐれた芸術作品や、この世の植物や、造形は、
それをそのまま表現しているので、
哀しくも、うれしくも、静かにも、激しくも、
狂おしくも、やさしくも、
感じます。


それは、哀しいとも、うれしいとも、断定できない、
なにかわけのわからない感情。


それが感情の宇宙。それが人間の宇宙。万物の宇宙。
なのかな。。

(↑お坊さんのお説教みたいになってきました、きゃー)



**********************



このところ、ずっと大事な友人が、
つらい痛い通院治療を受けていて、
とうとう入院しました。

わたしは、なんとも声もかけられず、
ずっと重たい気持ちでいました。
ブログに、(笑)と入力するのをとてもためらいました。
シリアスになりすぎるから、入れたけど。。



友人が、ようやっと退院して
少し元気なメールをくれるようになって
すごくうれしかった。

それの結果が、昨日の記事のタイトルの!の多さに
あらわれてます。。
(↑単純)




わたしは、ものすごくひとに影響を受けます。

日々の出来事や人の目線が、書くものに影響したり、
いいなあ、と思っているひとのブログの記事に
影響を受けて、すぐなにか書いてしまったり。。



それは、まるで、自我とは別のところで、
自分のいろいろな感情の宇宙が、
風にゆれているような感じ。


近しいひとの思いや出来事や
優れた表現や、作品、という“自然”の中で、
風にゆれている植物になったような気がします。


それは、たとえば、自分が、雨の雫のついた芙蓉になって、
朝の風にゆれているような感じ。

小さな自我を忘れて、
哀しく、うれしく、せつなく、激しく、静かに。
by ayu_cafe | 2009-10-31 12:17 | 友人・同僚のこと | Trackback | Comments(10)

酒井抱一!円山応挙!並河靖之!伊藤若冲!ル・コルビジェ!きゃー!

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かねてから、要チェキだとおもっていた
宮内庁、三の丸尚蔵館。
その名宝を国立博物館平成館で一挙に展示、
とのことで行ってきました。


若冲の「動植綵絵」全30幅が目当てだったのですが、

照れくさいほど好きな酒井抱一があって
気絶しそうになりました。



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電話で混雑状況を聞いてでかけましたが、
入場制限されていて、でも、2分くらいかな、
待ったの。

休日は、2時間待ちとからしい。。

しかし、こういうチケットのデザイン、
なんとかならないものか。。。
パリの自然史博物館のチケットとか
カッコよかったなあ。。







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基本的に、伊藤若冲の絵の前には
びっしりと国民のみなさまがならんでらして
近づけません。。


でも、遠巻きでも十分迫力。
青物問屋の若旦那だった若冲が、
絵の具と下地に異常に高価なものをつかったためか、
この現代に異常な発色が異常なままで迫ってきます。



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若冲を語るときに、「男色」ってキーワードも
あるらしいんですが、
まあ、わりと優れた芸術には、そのキーワードって
ふつうにあると思います。
ビスコンティにも、ローリングストーンズにも、
ルイスカーンにも。。。




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若冲マグネット。。

細見美術館の「瓜」も見に行きたいなあ。。








そしてそして、

「花鳥十二ヶ月図」by酒井抱一

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「至福」しか感じませんでした。

あ〜なんていいんだろ、包まれているようでした。
(↑芸術的批評語彙ゼロ)

あの柿なんて、この世の奇跡だなあ。。。

優れたものって、謙虚さと勇気が
身体にひろがる。。




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酒井抱一ポチ袋。。
酒井抱一は、異様にグラフィカルなので、
グッズ映えしますね。
(↑グッズ的側面から批評。。)





円山応挙の素晴らしい孔雀もよかった。

若冲と酒井抱一に挟まれていると
円山応挙の王道感というのがよくわかります。
だから逆に、現代的にいまひとつ
盛り上がらないのかな。。

でも、異能の若冲、圧巻の円山応挙、
鋭利な酒井抱一、とのこのラインを
くりかえし、いったりきたりできるこの至福。。。


いつか、大英博物館の応挙の氷もみたい。。






そしてそして、うわー
並河靖之の七宝がある!きゃー。


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INAXさんから出てる七宝の本は
ベッドの横において、寝る前に見てるくらい好きなので、
ひとりで超もりあがってしまいました。。

あー清水の美術館行きたい。。。




素晴らしい蒔絵もあったし
やっぱ、三の丸尚蔵館、グレイト!
と思いました。






ひととおりみて、
もういちど、酒井抱一、見よ、
と思ってすたすた「動植綵絵」がずらりと
ならんでいる部屋をあるいていたとき、
突然、すべての「動植綵絵」が
せまってくるような感覚に襲われて
ゾクゾクッとしました。

ああ、こうやってふかんで
パースで見るのかあ、なんて思いました。

もしも、中央に相国寺の「釈迦三尊像」の絵が
おかれて、オリジナルに近い配置になっていたら、
どうなっていたかわかりません。。


凄いものって身体に作用するんですよね。。。








かえりには、日本に唯一ある
コルビジェ建築を堪能して帰りました。


わたしはこのアングルが好き。

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階段がこんなに効果的だなんて。。

しかし、あの傘立て、コルジビジェ、怒ると思う。。笑



それにしても水平ラインの美しさ。。。







写真の奥には、ロダンの地獄の門があります。。









上野は、安藤忠雄の国際子供図書館もあるし、
国立博物館の常設展も見たいし、法隆寺宝物館や、
いま、秋の公開をしている庭園の中の
応挙館もみたい。


あー、見たいものたくさんある。。
by ayu_cafe | 2009-10-30 08:28 | ayuCafe ART Bar | Trackback | Comments(6)

「ご提案、っていうのがむかつくんだよ(笑)」

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すみません、仕事のはなしばかりで。。



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巨大企業の偉い方と、渋谷で焼き肉を食べてきました。


この方が現場にいるとき、いちどだけ
一緒に仕事したことがあります。



この企業さんの仕事では、新聞やカタログの校正を、
クライアントさんと、読み合わせ、という
とても「特異」な方式でおこないます。


校正するものを読み上げ、その他の複数の人間が、
他のバイブルとなる資料や、以前の赤字などを
参照し、一度にチェックします。
疑問に思うところは、その場で、検討、調査します。


最近、わたしの担当さんは、上手に仕切っていただけるので、
そんなことはありませんが、
仕切り方次第で徹夜になることもしばしば。
徹夜になると、明け方はもうろうとしてくるので、
精度的には、なかなか微妙なことになります。。



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おとといの「これで、いいわけがない」の記事で、
わたしの書いたものに、“今回コピーいいんだよね”
と言ってくださったのは、この方です。


読み合わせで、読むのは、通常われわれ制作サイドですが、
この仕事のときは、ふいに、この偉い方が、
わたしのキャッチ、ボディ、チャプターのイントロを
思い入れたっぷりに読んでくださって、びっくりしました。
あとにもさきにもこんなことは一度きりでした。



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以前、うちの会社の人間が、この方と
飲んだとき、けっこううちの会社に対して、
厳しいことを言われたらしいので、
今回もいろいろお叱りやご指摘を受けるのかな、
と思って、焼き肉屋に向かいました。


けれども、いざはじまってみると
非常に有意義な会になってしまってびっくりしました。

偉い方との飲み会というのは、
現場の事情、厳しさ、というのは別のところで
理想論でもりあがってしまうこともなくはないです。

今回の会もそういう面が皆無かどうかわかりませんが、
あまりある収穫がありました。


あえていうと、偉い方ほど、理想を語ってもらいたい
ところもあります。
(そうしないと理想なんて、どこにもなくなるので。。)



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いちばん感じたのは、
クライアントサイドの方が柔軟だということ。
そして、変らず、この方は、
わたしのコピーを読んでくれたときと同じように、
どこかで(真剣な)制作行為というものを尊重してくれる
部分がある、ということ。


クリエイターなんて、実は、単純なんだから
ほんのひとことで、馬車馬のように
バリバリやってしまうので、
かなりうれしかった。



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感じたのは、もはや、いままでどうり
仕事の発注を待っていて、
いままでどうりの仕事の範囲内で、
いままでどうりのやりかたで、
慣例的にやっていくのでは、だめだということ。


これはわたしがこの企業を担当したきから
感じていてわたしたちのチームでは、
とにかくいまもとめられているものを
慣例にとらわれずにやろうと、してきました。


でも、やはりやりすぎると、
企業のことをわかってない、と思われる
可能性もあるので、おそるおそる
でも時に大胆にやってきたつもりでした。


だから、ああ、いんだな、
むしろ、もっとやっていいんだ、と思ったし、
いままでの作業以外も、とくにwebとかも、
もっとやんちゃに考えちゃっていんだ、
と思いました。


うちの会社は、流通や化粧品をやってるチームも
あるし、わたしもそれに首をつっこんだりしてるので、
こっちのチームを総動員したっていいんだと
思いました。

とにかく総力戦で、うちの会社でしかできないものを
提供してかないと、このご時世、
たちまち、パーツ屋さんになってしまうし、
企業も頼りにしてくれない、発注もなくなる。
ほんと柔軟に考えて、必死にやらないとクライアントさんの
収益もおぼつかなくなってしまう。


それをいうと、その方、ばしっとわたしの
肩をたたいて、そうだよっ、と言ってくれました。

相変わらずこのひとは。。

ばしっと肩をたたくクライアントさんって
あんまりいなくて、わたしは好きです☆



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あと、面白かったのは、

ご提案、っていうのがむかつくんだよ、

って言ってたこと。

「提案」って、その人ごとみたいな
さめた感じやめてくれ、「ご」とかつけんな(笑)

って言っていて、めちゃ共感したし、

だから、うちのチームは、ずっとそんな気概で
やってるっつーの、と思いました(笑)



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その企業の発足から思想から、さかのぼって、
理解して、市場をふまえて、未来をみすえて、
こんな風にやるべきですよね、
ってところをいちばんダイナミックに
襟首をつかむ勢いで出す。

そんときは、ご提案じゃなくて、
おこがましくも、パートナーとしての
太いビジョンの提示。

だから、バリエーションがいくつも
でるわけがない。
バカボンドでいうところの「いちの太刀(たち)」。
心臓を突き刺すつもりで提示する。



んで、通常は何十、ときに百近く出すこともある
メインビジュアルとメインコピーを
一案のみで最後まで通したこともありました。


そういえば、この方と仕事してたとき、
勢い余ってわたしとADがよく立ち上がって
意見とか言っていて、この方に、
まあ、座ってください、とか言われてた。。笑



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いま、わたし、全てのしごとでそうできてるかと
いうと正直、かなりむずかしい。
いろんな事情、意見、バランス、スケジュール、
進行、チーム、体力、精神力。。。

でも、
シンプルで強いビジョンと
柔軟で広範なアプローチは、今、必要不可欠。
そして、ユーザーの実感覚がすべて。


これ、あたりまえ、なんだけど、
なかなか慣例的なものづくりの
ルールにいつのまにかしばられて、
そこに安堵してしまいがちで、
手癖でやっつけてしまうこともある。


最近も、スタッフに、偉そうに、
このフレーズ、表現としてはすぐれてるかも
しれないけど、
実際、これみて、買う?
って聞いたことがあった。
(自分で言ってて耳が痛かった。。)




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京都の俵屋さんとか、
とらやさんとか、
海外のある種のブランドとかも、

老舗のクオリティーと、
フットワークの軽さと、
ユーザーのいまの感覚を大事にしているもんなあ。

それでいて、ビジョンやメッセージがある。




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既存の仕事に限界や先細り感を感じていて、
モチベーションがさがって、ぐったりしてたけど、
やることたくさんあるんだな、と思いました。


とらわれるつもりはなかったけど、
やはりいつのまにか慣例にとらわれてた。

企業の方が柔軟ってことは、
企業の方が必死ってこと。

座ってしごとしてちゃだめだ。。


経済状況はすごくわるいし、
商品は立ち上げプロモーションを納品したら終わりではなく、
そこからがはじまり。



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うーん、これは社内の意識を変えるのも大変だし、
既存の仕事の確固たるクオリティーも、
厳しいスケジュールや事情の中でかなえながら、
やるもの正直大変だ。。。



でも、
すくなくとも、
なんか、
おもしろそー☆



ああ、おもしろそーなものって
大変なんだよなあ。。やれやれ。。






ずっと思ってたけど、
他の競合企業ではなく、
この企業の仕事させていただけて、
やっぱ、ラッキーだ、と思いました。







(でも、ちょっと休みたいけど。。。
夏休み、クリスマス頃にとれるかな。。)
by ayu_cafe | 2009-10-29 09:44 | 仕事もしてます | Trackback | Comments(6)

光のきれいな日、同僚を誘って、代官山のミケランジェロでランチ。

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朝、通勤途中、よく晴れた空を見ながら歩いてたら、
ふいに、こんな日にミケ(代官山ミケランジェロ)に
行ったら気持ちいいだろうな、と思いました。


同僚の女の子ふたり(戦友☆)を誘って
出掛けました。


あつくもなくさむくもなく、
光がきれいでわりと完璧なランチでした。。



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途中で中庭に移動させてもらって、
大きな樹々のしたで、デザートをゆっくり食べました。


樹々が風に細かくゆれる音がずっとしていて、
秋の清潔な斜光がまぶしく届き、
いくつかの鳥の声が聞こえました。

空はくっきりと青く、
枯れ葉が羽のようにゆらゆらと降りてきていました。
by ayu_cafe | 2009-10-28 07:45 | 仕事もしてます | Trackback | Comments(4)

これで、いいわけがない。

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金曜日の会に来てくれた退職した女の子は、
会社をやめたその当時、結婚していて、
一児の母で、外国から仕入れた子供服を
ネットで販売する事業をはじめた。

その後のことを聞いたら、
自分で営業して、
ホームページをつくる仕事もしたり、
デザインの仕事もしたり。

二人目のお子さんができたときも、
ホームページの仕事を請け負っていたので、
その納品日前に、急いで産んで、急いで退院してきて
仕上げた、って言ってた。


もともと礼儀ただしくて、
仁義をきれて、体育会系で、
考え方の構築ができて、
ざっくりした見え方も、
インパクトのあるデザインで
はやいスピードで仕上げていた。



この子が、会に来たことで、
空気が明らかに締まった。
逆に、いまのぬるさを実感した。


*******************


昨日、その子の元部下だった女の子(お面の子)と
メールで話してたら、同じようなことを感じて、
落ち込んで帰った、って言ってた。


*******************



随分前、はじめて、大きな仕事の立ち上げの
メインのコピーライターになった。

クライアントの決済者の中に、
以前から知っていた方がいて、
現場を大事にしてくれて、筋の通った方だったので、
この方をがっかりさせないようなものを
絶対につくろうとおもって、
そうノートに書いて、覚悟を決めた。


その商品は、価格が700万円を越えるものだった。
既存のつくりかたにまったく納得いってなかった。
カタログのビジュアルページにお決まりのように、
カッコつけたキャッチコピーがつつつ、と入っているなんて
カッコ悪いなあ、と思っていた。

もっと外国のものみたいに、ビジュアルページは
ビジュアルだけで、説明ページは、きれいな文字組で
ビッシッと、みたいなものをつくりたかった。

見ただけで、直感的に、喉元になにかが鬼気とせまるものを。
キャッチコピーを読ませる分、訴求のスピードが
遅れると思った。


クライアントは、ビジュアルの必然性を求めた。
どうしてこの絵で、この絵ではなにをいいたいのか。
各ページごとに、しっかりとメッセージを訴えるように。

当然だと思った。
でも、それまでの作り方は違った。
かっこ良くて、美しいビジュアル、強いビジュアル
という観点でつくられていた。
時代の変わり目で、クライアントは、感覚的なものより、
もっとロジカルなものづくりをもとめた。

わたしは、各ページごとにメッセージをすることも
ビジュアルだけでできると思った。


でも、会社の会議では、コピーを入れた方が
メッセージがわかる、という意見が多かった。


*******************


その頃は、今の社長が、いちから会議に参加していて、
クリエイティブディレクターとして絶対だった。
文句をいうひとはまずいなかった。
どなるし、厳しいし、勘はするどいし、せっかちだし、
よく、同僚と3手先を読まないとまたどなられるよ、
なんて言い合ってた。


カタログのビジュアルページにすべてコピーを入れる、
ということに社長も賛成だった。
わたしは、社内の会議で猛烈に反対した。
だってアルマーニの広告にちくいちキャッチコピーが
ついてますか、その何倍も高い商品じゃないですか、
説得は他のページでびっしりしてるし、とかなんとか。。


すると社長は珍しく困って、
そこにいるチームのメンバー4、5人に
ひとりづつ聞き始めた。
コピーいると思う?いらないと思う?
多数決。。。

そのときのチームは、ほとんどがわたしより
年上のベテランの方ばかりだった。
わたしには、その仕事でキャリアも評価も得ている
年上のコピーライターが監修役としてついていただいていた。

全員がコピーはいる、と答えた。
最後のひとりが、「コピーはいるとおもいますね。。」
と言い終わる前に、わたしは、社長の目を見て、
「いや、いらない、と思います」と強く言った。

こころの中では、
「ビジュアルで説明しきれない、ってことは
ビジュアルに意志と魂が入ってないからだろ、
死ぬ気で絵をつくってないからだろ、
なんで絵の足りない部分を言葉が補足しなきゃ
ならないんだ、言葉は刃物なのに。」
なんて思ってた。

(きゃーっ、ごめんなさーい。
なにしろ若かったもんで。。。。
ま、いまでも考え、あんまり変ってないけど。。)


*******************


結局、このとき、社長は
「わかった、相澤、コピー入りの案“も”ためしに
つくってみよう」と言ってつくることになった。
上手い言い方だなあ、と思った。
(この言い方、いま、わたしは多用してる。)


年上のコピーライターの方が、
「相澤、こんな感じかな、参考までに」
とコピーを書いてくださった。
方向性がちがう、と感じたので、
全ボツにさせていただいた。
やるならやるで、参考にしたい海外の会社の
コピーのフレージングがあったので、
それをにらみながら、30分くらいで、
全ページのコピーを書いて、デザイナーさんにわたした。


デザイナーさんは、きれいな平体で、
射抜くように配置してくれた。

後で、クライアントさんに、
今回コピーいいんだよね、って言われた。


*******************


いまだに、わたしは、コピーがないほうがいいと
思ってる。でもたぶん、肝心なのは、
ものづくりに、こだわった、ということかもしれない。


*******************


その次に、大きな仕事の立ち上げをする時、
社長がまず、ブレストをしようと言った。
ブレストという甘えた雰囲気が嫌いだったので、
ターゲット、市場、商品特性、目的をまとめ、
あくまで試論ですが、と表現のきっかけとなる
ボディーコピーを書いて資料と一緒に出した。

その時点で、その商品が置かれる店舗は、
お客さんのふりをして、18店舗くらい
まわっていた。

誰がなにを言ってきても確実につぶす、
と思って会議に参加した。

(きゃーっ、ほんとにごめんなさーい、
とにかく若くて。。)


でも、相手の案をつぶす、って相手への
最大の敬意だと思うんですけどね。。
案が死ぬか生きるかのときに、
相手を尊重したり、かわいそうとか思うのは、
本気でやってない証拠かも。。。



*******************




わたしが前にいた会社の上司は、
わたしの書くものに、徹底的に、ロジカルな赤字を入れた。
これは、こう誤解される。こことここのつなぎが変。
ここは、もっと考えられる。。
できたら家にfaxして、といってその上司が帰ったことがあった。
明け方の5時頃原稿が完成して、上司の家にfaxしたら、
5分後に赤字が入ってfaxが返信されてきた。

わたしは、この上司の赤字入りの原稿を
ほとんどすべてファイルして、今働いている
机の引き出しに入れてある。

いまだに、文章を推敲する時、
あの上司のOKでるかな、と思う。




*******************



いま、いろいろなことが変った。
広告が表現の精度をもとめなくなりはじめた。
クライアントさんの窓口となる広報のひとも、
代理店の担当の方も「プロ」の方が減った。
(過度に表現の詳細に対してプロである
必要がなくなってきた。)
昔は、おれは、アートディレクター以下の人間とは
話さないよ、なんていう怖い担当の方がいた。。

なにをどうやってどこを訴求すればいいですかね、
ってところからはなしがはじまることが多いし、
社内チェックを段階的に受けていく中で
主観的なチェックで方向が二転三転することもある。


わたしは、というと、かけもちの仕事が増えた。
会社自体も仕事の単価が下がっているので、
かけもって量をこなさないとかせげなくなっている。
無謀な急ぎの仕事もたくさんある。

求道的に、デザインやコピーをつめている時間もないし、
また、それも求められなくなってきている傾向もある。

簡単にクライアントさんのOKが出てしまったり。。


*******************


クライアントさんのOKは、ゴールだが、
ゴールではない。

クライアントさんの担当さんは、
一年で異動されるときがある。
でもつくったものは、
つくり手の一生の作品になってしまう。



*******************



この流れの中で精神力と体力を維持するのも結構きつい。
つねにすべての仕事において、
ひりひりやっているともたなくなる。

なんとか方向性を見出して、着地させて、
各方面の意見を吸収して、
ミスのないよう短時間でしあげるだけで、
いっぱいいっぱいなことも正直多い。
それをたとえば、6つ同時進行させるのは、
なかなかハード。。。




*******************



でも、こんな仕事の仕方で、
こんなものづくりで、
いいわけがない、とずっと思ってる。


私生活においても。
祖母の施設について、
介護環境、行政についても、
母の脚についても、
妻の健康についても、
わたしの健康についても、

いいわけがない、とずっと思ってる。




でもそれに鈍感になってしまいがちな自分もいる。


年下の同僚から上がってくる
企画書もレイアウトもびっくりするほど、
詰めが甘い。

わたしは、ならべく赤を入れるけど、
根本の必死さの欠如を強く感じる。

これについてどう赤を入れればいいんだろう、
と思う。
ほんとは笑ってる時間なんてない。
ほんとに楽しいってことは、
笑うひまもないときのことなのに。

でも、時間もない。求められてるものも微妙。
疲れてる、かけもっている。。


この詰めの甘いレイアウトは、
わたしの現状の鏡なんだろうなと思う。


ただ、これで、いいわけがない、とずっと思ってる。
















(ほんとに長く力の入りすぎた文章、
お読みいただいてすみません。。)
by ayu_cafe | 2009-10-27 07:38 | 仕事もしてます | Trackback | Comments(6)

『共感という絆で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために、人は存在する。』

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先日、訪問させていただいたあるチョーク工場のお話を申し上げます。創業者である社長は、昭和34年の秋に、近所の養護学校の先生から頼まれて2人の卒業生を仮採用しました。毎日昼食のベルが鳴っても仕事をやめない2人に、女性工員たちは「彼女たちは私たちの娘みたいなもの。私たちが面倒見るから就職させてやってください」と懇願したそうです。そして、次の年も、また次の年も、養護学校からの採用が続きました。ある年、とある会でお寺のご住職が、その社長の隣に座られました。社長はご住職に質問しました。「文字も数も読めない子供たちです。施設にいた方がきっと幸せなのに、なぜ満員電車に揺られながら毎日遅れもせずに来て一生懸命働くのでしょう?」 ご住職はこうおっしゃったそうです。「物やお金があれば幸せだと思いますか?」続いて「人間の究極の幸せは4つです。愛されること、褒められること、役に立つこと、必要とされること。働くことによって愛以外の3つの幸せが得られるのです」

「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」、これは社長の実体験を踏まえた感想です。このチョーク工場は、従業員のうち7割が「障害」という試練を与えられた、言わば「チャレンジド」の方々によって構成されていますが、粉の飛びにくい、いわゆるダストレスチョークでは、全国的に有名なリーディングカンパニーになっているそうです。障害を持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために」



本日のわたしの国の首相所信表明演説より。
by ayu_cafe | 2009-10-26 23:32 | 一生勉強。 | Trackback | Comments(6)

「はい、プレゼント。」+

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金曜日、足がけ3年くらい続いた
KDDIさんのAUの「U.」という冊子のお仕事が
終わったので、チームで
打ち上げ(追悼/さよなら)パーティをしてきました。
(ハロウィンパーティもかねて。。)

キャットストリートをちょっと入った
ガレット屋さんで。。
(最後にあんなことになるとは。。)



(ちなみに↑この写真、携帯でとったんですが、
フォークのカーブに、そえられた指の感じが
ロウソクのあかりでとてもきれいで、わりと好きです。
ま、なにかの偶然でしょう。。にゃはは。。)





ガレット屋さんはこんな外観です。

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チームのスタッフが、選んでくれました。

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内装はこんな感じ。

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スタート時にめちゃめちゃ活躍してもらって、
その後退職したメンバーも特別に来てもらって
万全のメンバーでスタート。
(このメンバーでは去年クリスマス会もやったんですけど、
その時は忙しくてこれないメンバーもいたので、
今回は全員来れてほんとによかった。。)







ガレットは、何種類も出てきて、
おいしくて、そうとうお腹いっぱいになりました。

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コースの最後に、うちのスタッフがケーキを
追加オーダーしてくれてました。
なんとうちのスタッフのデザイン。きゃー。






どーん。
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「U.」の名前があしらわれています。
店員さんに、どなたかのお誕生日ですか、
と聞かれたので、
いえ、「U.」の追悼でして。。
と返答。。

それにしてもよくできてます。
さすが、デザイン会社。。






この「U.」という冊子では、相当やりたい放題
させていただきました。

仕事の内容はこちらにも書いています。


こんなお仕事はなかなかないでしょう。。
なかなかないので、楽しかったし
大変でした☆


というわけで、わたくし、
クリエイティブ☆ディレクターとして、
断固として、果敢に提案。


ハロウィンだし、今回もプレゼント交換を!


前回のクリスマス会のときも
プレゼント交換してたんです。
そのときの模様は、こちら




広告やものづくりって、ようはプレゼントなんですよね、
たぶん、すべての仕事は、プレゼントなんです。
ゆえに、プレゼント交換は大事です☆




くじをひいて、順番に交換していきます。
誰のが誰にあたるかはわかりません。。

では、さっそくご紹介。






動物クラフトカレンダー
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(もらったひと、これほしかった、と。。)






ポップアップアルファベット絵本
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(デザイン性、ものすごく高し。。)






江ノ島の龍のお守り
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(このひとのプレゼントは、お守りが多い。。)






かわいい紅茶セット
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(使ってしまうのがもったいない。。)






旅してきたばかりの屋久島のレアな地酒
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(飲みごたえるあるプレゼント。。
もってかえってくるのも、もってくるのも
大変だったのでは。。)






きれいなハロウィンのブーケ
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(意外な繊細さがぐっときます。。)






書いて消せるボード。
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(書いて消せます。。)







これがすごいんですけど、
コピーライターのスタッフが自分で写真とって、
デザインして、完全データ入稿して、
出力センターで製本までしてもらってる冊子。
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冊子「U.」の歴代の表紙が入っていたり。。

ラフ案の段階で終了してしまったため、
日の目をみなかった案が
入稿されていたり↓
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こ、これは、一部だけの印刷だし、相当高くついたのでは。。
でも、大人気でした。

そう、そのひとだけができて、その相手だけとのなにか
っていいですよね。。(予算度外視だが。。)







それから、新婚のスタッフと
お子さんが生まれたひとがいたので、
プラスアルファで、ささやかなプレゼント。
会社近くのOrne de Feuillesにて入魂のayuチョイス。




新婚さんには、味のある木のフォーク。
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ベイビーのお祝いには、ドイツのアンティーク。
首がゆれる目がこわいオットセイ。。
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ちなみにわたしのプレゼントは、
おこがましくも、
『よくばりねことしょうじきねずみ』のぬいぐるみと
おはなしをセットで。。入魂の包装で。。
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(ま、世界にひとつだけってことで。。)







わたしがもらったのは、
L'OCCITANEのハンドクリームとハロウィンのチョコと
直筆のお手紙。
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(直筆のお手紙の内容には、
みんな悲鳴をあげてました。。笑)








さ、ここから変なことになってきます。。









わたしたちは、U.のある号で、イラストをメインにした
こんな号を作りました。
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この表紙の女の子は、わけのわからないモデルより、
いっそ、これをデザインしてるデザイナーの子でいいじゃん、
ってことになり、ほんとにそのまま完成してしまいました。
(つくりての顔が見える。。)


で、これが完成したとき、わたし、
責任あるクリエイティブ☆ディレクターとして提案しました。

「これ、お面にして、みんなでつけて
写真とろうよ!○○さん(絵の子)だけ
お面つけないで。。」




で、今回サプライズで、スタッフがほんとうに
お面をつくってくれました。









どーん。
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で、みんなでつけてみました。。








どかーん。
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お店のひともびっくり。。。
学祭の打ち上げか。。。

向かって左から3番目がわたしです。
(↑どうでもいい)









本人にもつけさせました。

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ワインを片手に。。。











オブジェとして、とらえてみました。。

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*帰り途中の写真を入手したので追加*

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バカどもめ(笑)

っていうかこういうキャンペーンやったら、
もうすこし利用促進されたのでは。。
(なわけないか。。)









ほんとにすいません。。





このスタッフたちは、
おもしろい案だしだけでなく、
細かい作業や時間のない作業、
つくるルールや方向が見えない中での作業、
を、うんとたくさんやってこの冊子を
つくってきました。

クライアントさんも最後にわざわざ時間を
つくって、お礼を言ってくださいました。






最後に、わたしがもらったプレゼントの
手紙を全文掲載しちゃいます。

これを書いた女の子は、
誰に渡るかわからないプレゼントで、
こんな悲鳴をあげそうな内容のことを
書いています。

それは、誰にわたっても伝わる
内容だからだと思います。
半分冗談で半分本気なのではと
思います。

この手紙は全員に渡ればよかった。





『あなたのことをずっと見てました。
夜遅くまでがんばっているとこ。
忙しくても、ちゃんと丁寧に仕事するとこ。
会議中の熱心な話しぶり。
ふとしたときに見せる笑顔。
パソコンに向かっているときの凛々しい横顔。
いつもまぶしかった。
思わず惚れてしまいそうだった。
そう、あなたの仕事ぶりが好きってことは
あなたのことが好きってことなのかも
しれない。(キャー!)
これからも、ずっとあなたのことを見ています。
できればこの手紙は、会社の引き出しに入れて、
たまに見返してくれたらうれしいな。
いつもあなたを応援してるってこと、忘れないで。』




(笑)うちのチーム、わりといいチームでしょ?




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by ayu_cafe | 2009-10-26 04:37 | 仕事もしてます | Trackback | Comments(6)

フェンダーツインリバーブの真空管がほこりを焦がす匂い。

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仕事が終わったあと、明治通の信号を渡っているとき、
「相澤君」と声をかけられた。

「君」って久しぶりな呼ばれ方にどきっとしつつ振り返ると、
リードギター君だった。


近くではたらいていることは知ってたけど。
その場で名刺交換などして、メールちょうだいよ、ご飯行こ、
とか、次長か、すごいねー、ま、小さな会社だからね、
なんてことをちょっと話して別れた。



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数日後、ランチして、いろいろはなした。
さすが、めちゃはなしがはやい。
ガエル・ガルシア・ベルナル、いいよね、
天国の口、終わりの楽園、見た?
見た見た、すごい好き。
最後、ザッパの曲かかるじゃん、いいよね。
ストーンズの映画、すごいよかったよ、
サントラは買ったけど、まだ観てないんだよね。。
とかとか。。



*********************



彼とバンドをやってたのは、もう10年以上前。
その頃は、音楽のことしか考えてなかった。
旅行も、写真も、ましてや広告なんて、
まったく興味がなかった。
どっぷりと音楽を聞いて、毎週2回練習スタジオに入って、
月に1回から2回都内のライブハウスに出てた。
音楽以外の仕事をするなんておもいもしなかった。
(ま、ちなみに、ぜんぜんたいしたことないんです。。)



出てたライブハウスは、
新宿JAM、
代々木チョコレートシティ、
下北沢屋根裏、
吉祥寺曼荼羅、
西荻ワッツ。。とかとか


編成はわたしがVoとG
あと、リードギター君とドラム野郎とベース君。

しばらくして、女の子とわたしがVoで
わたしがG、あとパーカッション君っていう
編成で、渋谷のtake off 7ってところに
しばらく出させてもらってた。



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ずっとわたしが曲や詩やリフをバンドにもっていって
オリジナルの曲をやってた。

練習ではカバーもやった。
リトルフィートのデキシーチキンの一曲目とか、
ミーターズとかのカバーとかもやってみてたけど、
今、思うと、セカンドラインファンクに手を出すなんて、
めちゃめちゃ無謀だ。。。


バンドでやりたかった音は、ファンクっぽいリズムよりのロックに、
セブンスコード(デミニッシュ?)って言うコードを使って、
ひろがりのある風景が見えてくるようなものがつくりたかった。

これは、おもにリズムの好きな曲だけど、
Curtis Mayfield の「Freddies Dead」とか、
Rolling Stonesの「Fingerprint File」とか、
Donny Hathaway の「The Ghetto」とか。。
Street Slidersの「Back to Back」って曲には凄く憧れた。
あとポールウエラーのソロの一作目、
イアンデューリー、スライストーン、スティービーワンダー。。

16ビートのモロファンクじゃなくて、
8ビートなのに、重く跳ねる感じ。。



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何千、何万と曲を聴いていくうちに、
だんだん自分はこれが好きなんだな、というのが、わかってきた。

わたしの場合は、
カーティスメイフィールドと
ダイナソーJrと
ブライアンウイルソンだった。
(↑めちゃくちゃ☆)


あとセブンスとファンクってことでいうと、
ブラジルのジョルジュベンや、MPBの音を
聞いたときは、まさに自分の大陸をみつけたような
気分になった。

3人編成のときは、トニーニョオルタや
エリスレジーナみたいなおおらかな
音楽をつくりたかった。


とにかくなにか風景を見たかったし、
見せたかった。


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バンドの練習では、最初の一時間くらい、ずっとジャムってた。

これが、もうたのしくてたのしくて。
ジャムというとギターソロ、かわりばんこ、
みたいなバンドもあるけど、
わたしたちは、ワンコードないし、ツーコードのみで
ひたすら、リズムと間を構築しようとしていた。


思い浮かんだギターリフではじめて、
そこにドラムとベースがあるリズムをつくってくれる。

バンドの真ん中に生きたリズムが生まれて、あとは、
みんなで、その生きたリズム(グルーブ)に対して、
リフやフレーズやハイハットのタイミングとかを
抜いたり、つっこんだりする。

誰かがなにかをすると、それに反応して
誰かがなにかをする、それがまた影響して。。
って感じで、いつのまにかおもいもよらない、
有機的なグルーブができる。
ふわっとからだが浮かんだような、
なんともいえない気持ちのいい感じになる。


気持ちのいい間とリフが、ここかな、と言う感じで
固定されると、あとは、それをくりかえしてるだけで
気持ちがいいし、どんどんどこかへ、
のぼっていくような気分になる。
(ま、うまくいった場合)

たぶんその間、バンド4人で、ものすごい生理的な情報の
交感をしている。

スタジオのあの匂いの中で。



椎名林檎さんが「丸の内サディスティック」という曲で
“マーシャルの匂いでとんじゃって大変さ”
って歌ってるけど、このフレーズ、
すごくよくわかる。

わたしの場合は、マーシャルではなく、
フェンダーのツインリバーブってアンプを
使っていたけど、このアンプのうらに真空管が
むき出しでついていて、スイッチをいれると熱くなる。

で、真空管にすこしつもったほこりが焦げる。
このかすかな焦げる匂いの中で、
4人で黙々とグルーブをつくる。




練習を終えて、飲みにいったりすると、
ぜんぜんはなしなんてはずまない。
むしろなんだか照れくさい。
もうたくさん「話した」から。。
明るいところが苦手な恋人みたいっていうか。。
うまくいってるときの関係性って
話す必要がない。



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実はこれ、いまやってる広告つくることとすごく似ている。

デザインの余白、書体の選び方から、思想、ねらいどころ、
フレーズ、その辺がものすごい近さで共有できるひととやるとき、
バンドでジャムってるみたいな感じがする。

あ、そうデザインするなら、こんなコピーどう?とか。。
こんなのどう?ここの余白いいね。とか。


で、やっぱり飲み会ではなしがはずまない。
むしろてれくさい。
っていうか、もう仕事をするだけで、
デザインをつくっただけで、
その時点で「話し終えてる」。


そういう無言の「会話」は、
遊んだり、飲んだり、まったりしたり、するより
なにより蜜のように楽しい。
(あくまでもうまくいく場合。。)



これが合わないと、延々と話し合いになってしまうことがある。
文字を105%拡大するかどうかで、
延々とはなすときがある。


こういう組み合わせはなかなか大変。



でも、うまく行くチームの交感のスピードはすごい。
素晴らしいスピードの波に上手に乗れてるような気分。




でも、時期がすぎるとその合う感じが失われてしまう
こともしばしば。ほんと生もの。

ものを一緒につくるのは、生理感覚の交感だから
うまくいくときは最高で、
うまくいかないときは最悪なことになる。
まあ、恋愛みたいに。。



*********************



バンドが続かないのもよくわかるし、
バンドを止めたり、辞めたひとの複雑な心象も
なんとなくわかる。

わたしは、最後の最後にバンドを止めて、
週二回の練習とライブの予定が白紙になったとき、
正直なことを言うと、すごくほっとした。。



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会社のいいところは、解散しなくてもいいところかな。。
組織や仕事によってホールドされてる。
これがないと、個人同士のつながりだけ。
それだけで、感性全開のすりあわせを
毎回、一年中、やるのって大変だ。。



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ま、でも、いまだにプリンターから、
あたらしいデザインが出てくるときは、
バンドでどこかにのぼってるときみたいに
ドキドキする。

あの、ツインリバーブがほこりを焦がす匂いがしてくる。


やってることは、根本的には、たぶん同じ。

誰かとなにか、みたこともない風景を
世界に内緒で生み出して、
波のようなものにグイッと連れていかれたい。

わたしは、そういうことをずっと
求めているのかもしれない。



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ちなみに。。。。
少しまえ、クライアント様と
おつきあいカラオケをやっていた。

クライアント様の偉い女性の方が面白くて、
歌がへただったり、自分の好みに合わないと
イントロで勝手に消したり、
ただ歌がうまくても、音があってるだけじゃん、
って言ったり。。(音楽業界にもすこしいたみたい。。)

面白いなーと思っていたら、
夜中の3時くらいにベロベロに酔ったその
女性の方が、わたしが歌い終わったとき、
「相澤さんの歌って風景が見えんのよ」
って言ってくれてどきっとした。


企画書をつくっていても、
デザインをつめていても、
歌をうたっていても、
おはなしを書いていても、
なにか風景が見えるといいな、
と思ってやっている。


やろうとしてることは、
やりたいことは、
結局、昔から変わらない。
なにをやっていたとしても。。












(長い文、最後までお読みいただきありがとうございました。)
by ayu_cafe | 2009-10-23 06:43 | 仕事もしてます | Trackback | Comments(10)

音楽とダンスというサプライズ。




大音量で。






テリーギリアムのフィッシャーキングが元ネタかな。
ダンスが終わった瞬間に、
知らんふりして、別々の方向に歩き去る
ところが好き。
そこも、フィッシャーキングと同じだけど。。



イギリスの携帯電話会社のCM。
ひとは、驚いたとき、携帯をどう使うか、を
マルチアングルでドキュメント。





やっぱり音楽とダンスって素晴らしい。
日常の中にあればあるほど。


音楽とダンスそのものが、
そもそもサプライズなのかもしれない。
by ayu_cafe | 2009-10-22 09:34 | ayutube | Trackback | Comments(8)

ねこ日和。

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ねこと、ひと。
両者、無心。。
by ayu_cafe | 2009-10-21 07:48 | ayuCafe ねこ Bar | Trackback | Comments(0)