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人間の教科書。 立川談志 人と言葉。

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だからね、優しいんですよ。うん、優しい。
それはね、優しそうじゃないの。
優しそうな人って嫌な人多いじゃないですか。
ぼく、優しそうな人、あんまり好きじゃないんだ。
でも、優しい人は好き。談志さんは優しいひと。

談志さんはたぶん、落語っぽいものは嫌いなんじゃないかな。
落語が大好きで。落語があの人にとって(生きる)目的だと思う。
ホントに好きなんだろうな、一番なんだなって思うんですよ。
よかった、あんな人がいてくれて、って思うことがよくあります。
甲本ヒロト




「昔、ちっちゃな頃にね、
夕方の土手に、ぽっ、ぽっ、っと月見草が咲いていて、
摘んでいた。ひとつ摘むと、また先にもある。
それを摘んでどうしようってわけじゃないんですよ。
なんか、つかれたように摘んでいるうちに、
“おうちが、だんだん、遠くなる〜”
っていうのがすっと出て来て、
(野口)雨情の詩が、すげぇ悲しかった。
そういう部分を昔から持ってましたね。」




「己が努力、行動を起こさず対象となる人間の弱味を口であげつらって、
自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。
一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。
本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。
しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。

いいか、現実は正解なんだ。

時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。
現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。
そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。
現状を把握したら処理すりゃいいんだ。
その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」




「子供のころ、戦争が終わって、
いい戦争だと聞かされていたものが、
悪い戦争になった。
それから、新聞や世間の言うことを
そのまま信じなくなった。」




「世界の化学だ、医学だ、いろんなものをやってる、
けっこうなこってす。ただ問題はね。
それをやってるやつに無条件に従っちゃう。違うんだよな。
その人間が確立した自分のポジションと
その人間との付き合いなんだよ。
そこで、人間に人間がどれだけ関われるか。」




「落語はね、この逃げちゃった奴等が主人公なんだ。
人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、
わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやった方が
あとで楽だとわかっていても、そうはいかない。
八月末になって家族中が慌てだす。それを認めてやるのが落語だ。」




「君が今持っている情熱は尊いものなんだ。
大人はよく考えろと云うだろうが自分の人生を決断する、それも十七才でだ。
これは立派だ。断ることは簡単だが、俺もその想いを持って小さんに入門した。
小さんは引き受けてくれた。感謝している。経験者だからよくわかるが、
君に落語家をあきらめなさいとは俺には云えんのだ。加えて俺は後進を育てる義務がある。
自分が育ててもらった以上、僕も弟子を育てにゃならんのですよ」




「俺がガンの手術の喉を掻き切って、何も食えなかった時、
もし病室の扉を開けてアステアがタップを踏みながら入ってきて、
グラスを差し出し”飲むかい?"」って言われたら俺は命がけで飲むね、
生きるってそうゆうことでしょ、惚れるってそうゆうもんじゃないですか。」




「前座の間はな、どうやったら俺が喜ぶか、それだけ考えてろ。
患うほど気を遣え。お前は俺に惚れて落語家になったんだろう。
本気で惚れてる相手なら死ぬ気で尽くせ。
サシでつきあって相手を喜ばせられないような奴が
何百人という客を満足させられるわけがねェだろう」




誰にも知らせずに逝ってしまったが談志さんの無念は重々承知できる。
肝心の喋りが出来ず不自由した事でしょう。
昭和の大名人噺家が沢山居る中で誰の真似もせず
自分の料簡だけで生き抜く困難にあえて立ち向かった。
子年は喋りがうまいが言葉のあくを味にできるかその勝負師の如し。
ご冥福を祈ります。
内海桂子




「よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。
盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。
盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。
教える方に理論がないからそういいいいかげんなことを云うんだ」




「型ができてない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。
型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになる。
(略)結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ」




「若いころ、空っ風が吹く
多摩川の土手に正座して
ずっと稽古していた。」




「いいか、俺はお前を否定しているわけではない。
進歩は認めてやる。進歩しているからこそ、チェックするポイントが増えるんだ」




「俺を抜いた、不要だと感じた奴は師匠だと思わんでいい。
呼ぶ必要もない。形式は優先しないのです。
俺にヨイショする暇があるのなら本の一冊でも読め、映画の一本も観ろ」




「儀式を優先する生き方を是とする心情は俺の中にはないんです」





「自分なりの幸せの基準がないと。」




家族の方のみで荼毘(だび)に付されたと、先ほど聞きました。
最後の最後まで師匠らしい。自分の良しとしない姿は弟子どもに見せてなるものか、
というダンディズムだったんじゃないかな
立川志の輔




“バカヤロウ”って怒鳴っても、
帰り際には“うまくやれよ”と
ニコリと笑いかけてくれた
立川志の輔




「悪徳の匂いがしないものは
芸としておれは楽しくない。」




"己に自信の無い奴が常識に従う。




"「執着」「執念」というのが、「好きの虫」のすんでるところです。




"何の職業でもいいのだけれど、
そうなれる資格、レベルに自分をもっていく道筋がどうもあやふや。
好きなことをやり、それで食えるようになりたい、
だからそこに向かって賢明になるはずが、現代はアルバイトで食えてしまう。
それは楽なごまかしになっていくのではないだろうか。




"酒が人間をダメにするんじゃない。
人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ。




"学問の量にしがみつくな。




"尊敬されて、仕事があって、発想も、状況を把握できる頭脳もまだある。
それを幸せと言わずして何というか。




"天狗になるくらいでなきゃあ駄目じゃないかと思ったね。
青臭いかもしれないけど、天狗になってるときの芸は威勢がいいんですよ。




"法律はお互いの信頼関係における裏切り




"イイ奴とは自分に都合のいい奴である




"馬鹿とは状況判断のできない奴のことをいう




「賞味期限切れ、とか、偽装表示とか、言うけど、
昔は、そのへんに落っこちてるもの、
ひろって食ってたぜ。」




"
昭和51年1月、沖縄開発庁政務次官として地元記者との会見に出席。
酒の臭いをぷんぷんとさせており、
「あなたは酒とどちらが大切なんだ」と糾弾されるとこの一言。
「酒にきまってんだろ」




"
地方の独演会などに出向き、会場が立派なときに。
「文化レベルの低い所ほどこういう立派な会館建てるんだよな」




"
学問とは何かについて
「貧乏人の暇つぶし!」




"
努力とは何かについて
「バカに与えた夢!」



"
未来とは何かについて
「修正できると思っている過去!」




"「勝負はこうでなくちゃ面白くねえ。長かったなあ。
さあこい、これからが男のスタートだ」




“つらくなってからが、勝負なんだよね”




“客がすくないとね、ようしわかった、と
すくなきゃ、すくないでいい、と。
来なかった奴のためにな、おもいしらせてやるからな
ってのはあるな。
いきゃ〜よかったのに、って言わせてやるからな、っていうね”



家の前の満開の桜に、
“あ〜別れんの、かなしいよね
もうすぐお前達、散っちゃうんだろ?”

“雨に濡れてんのかわいいんだよね
ぞくっと興奮するくらい、この美しさね”




2007年の読売ホールの
演目、芝浜は、神が降りてきた
と言われる名演に。

観客は、いつも、もしかすと奇跡がまた起きるかも、
と思って、次の高座に向かった。




ネタを間違えて最初からやり直したり 晩年の家元は当たり外れが多かった 
だがしかし、あきらめかかった時にとんでもない噺に遭遇する 
そうなると桁外れに凄い おかしいとか 笑えるとかじゃない 
とにかく凄い 人間の暗部を抉り出すような気迫 
もうあーいった体験が出来ないと思うと・・寂しい
山本政志




亡くなる一年前くらいの
情熱大陸のイベントから、
しばし封印していた落語を
堰をきったようにやりだす。




“すくなくともおれはー、じゅうぶんに生きたですよ
ピザパイも食ったし、
ハワイも行ったし、飛行機も乗れたし、
温泉も入れたしね、うん
白いご飯も食べられたしね、

うそでもいいたいじゃないの、
十分に生きたよ、ってそれなりに


未練はやまほどあるよ、
そんなに言ったらきりがないよ、うん

十分に生きたぜ。”





密葬の時に流れたのは、
大好きなチャールストンの
「ザッツ・ア・プレンティ(これで満足)」




「『落語とは人間の業の肯定である』。

よく覚えときな。

教師なんてほとんど馬鹿なんだから、
こんなことは教えねェだろう。

嫌なことがあったら、たまには落語を聴きに来いや。

あんまり聴きすぎると無気力な大人に
なっちまうからそれも気をつけな!」
by ayu_cafe | 2011-11-28 07:46 | Trackback | Comments(2)
Commented by sho at 2015-09-12 15:02 x
私は談志師匠が亡くなってからその存在を知ったファンです
ですのでファン歴は4年程です
発言集を集めてくださってありがとうございます
やはり素晴らしいですね。
Commented by ayu_cafe at 2015-09-18 23:15
shoさん、
ありがとうございますね。
なにか、亡くなった気がしないんですよね。
あまりにも真理すぎて。