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「わたしには くちずさむうたがあったから さびかかった かなづちもあったから」




わたしは かじりかけのりんごをのこして

しんでいく

いいのこすことは なにもない

よいことはつづくだろうし

わるいことは なくならぬだろうから

わたしには くちずさむうたがあったから

さびかかった かなづちもあったから

いうことなしだ



わたしのいちばんすきなひとに

つたえておくれ

わたしはむかしあなたをすきになって

いまも すきだと

あのよで つむことのできる

いちばんきれいな はなを

あなたに ささげると






「わたしには くちずさむうたがあったから さびかかった かなづちもあったから」_b0072051_2352291.jpg










「しぬまえにおじいさんのいったこと」谷川俊太郎
by ayu_cafe | 2009-07-16 23:06 | ayuCafe 詩のBar | Trackback | Comments(0)