美術館。
ルーシー・リーの陶器には価格がついている。
セザンヌの絵にも。
ファンゴッホの絵にも、
イサムノグチの彫刻にも。
カルティエブレッソンの写真にも。
リサ・ラーソンの陶器にも。
長谷川等伯の絵にも。
宮沢賢治の物語にも。
コルビジェのデザインにも。
ならば、この朝の透き通る光は、
いったい、いくらくらいの価値があるんだろう。
雨をやりすごし、つめたい夜にねむり、
朝の斜光に目覚める豊かな花と葉の造形は、
この自然の手作りの作品は、
どのくらいの価値があるんだろう。
この光と色彩と造形が、美術館に展示されているものに、
おとっているとはとても思えない。
優れた造形の陶器も、
わたしの手元にあって、
わたしの足もとにある朝の斜光と花と緑も、
現世と言う美術館の中のひとつの作品かもしれない。