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あまりにもな、つきぬけた確信のみが、その風景を一変させることができる。

ジョンレノンのお父さんは、船乗りで、
ほとんど家にいなかった。

お母さんは、ジョンが一歳の時に、
姉のミミにジョンを預けて、家を出て、再婚した。

ジョンは、ミミおばさんの家で、
ミミおばさんと暮らした。

ジョンが、17歳の時に、お母さんは、
交通事故でなくなった。


ジョンレノンの「ジョンの魂」というアルバムは、
「mother」という曲ではじまる。


重たい鐘の音がゴーンゴーンと鳴って、
ジョンが、あの絶叫で、「マザー」と歌いだす。

歌詞は、こんな歌詞。


「お母さん、ぼくは、あなたのものだったけど、
あなたは、ぼくのものじゃなかった。」


(このCDを悩める10代のころに買って、
この出だしを聴いて、

ああ、奇跡って、お金で買えるんだな、

と思った。)


ジョンレノンは、子供のショーンが5歳の時に、
NYで撃たれて亡くなった。


ジョンが亡くなった直後、ヨーコオノは、
そのことをまず、3人に電話で、伝えた。


ジョンの前妻との子、ジュリアンと
ポールマッカートニーと
そして、育ての親のミミおばさんに。




ジョンレノンの音楽は、
世界を挑発し、世界を癒し、世界を鼓舞した。
世界は、彼の音楽に魅了された。
そして、あまりに悲しい結末をたどった。

世界は夢からさめてしまった。
そこには、殺伐とした虚無だけがあった。












10数年後、マンチェスターで、セメントを運んでいた
口の悪い兄弟が、

まるで、神様の使いか、救世主のように、シーンにあわられた。


バンドは、3枚目のシングルを発表した。


ジャケットに、タイトルはなくて、
一軒の家が映っていて、バンド名だけが入っている。


それは、ジョンレノンが育ったミミ伯母さんの家だった。


お父さんに会ったこともなく、
お母さんにおいていかれ、おかあさんの訃報を聞き、
そして、自分の訃報が届いた家。
すべての悲しみの象徴のような場所。



口の悪い兄弟は、
この家について、
ジョンレノンについて、
あらゆる悲しみに満ちて、
殺伐とした、希望の困難なこの世界について、



端的に、確信をもって、タイトルをつけた。



「live forever」





あまりにもな、あたまの悪いくらいの楽観、



でも、ロジカルな分析のみとか、
感心する技巧とか、皮肉とか、内輪受けでは、

結局、なにも突き抜けられない。



あまりにもな、つきぬけた確信のみが、
その風景を一変させることができる。




「live forever」のあのイントロ。

生命の巨大な雨粒のような、あのフロアタム。

そして、リアムギャラガーが、

「めいべえ〜」と歌い出す。






あまりにもな、つきぬけた確信のみが、その風景を一変させることができる。_b0072051_1103768.jpg

by ayu_cafe | 2010-06-26 11:01 | ayuCafe Music Bar | Trackback | Comments(2)
Commented by マーゴ at 2010-06-26 12:36 x
ハタチの頃、初めて本気で片思いをした彼が私の着信音に指定してくれた曲がlive foreverでした。
理由をきいたら「イメージ」と言いました。曲の偉大さからして、嬉しかったのを覚えています(^^)
5年前のサマソニで頑張って頑張って前へ行き、oasisを目の前で聴きました。珍しく機嫌の良いリアムのパフォーマンス、涼しげにギターを弾くノエルの、Dont look~は一生、一生、もう聴けないけれど、一生、忘れません!!
音楽が好きで、ここにこれて良かったって、思いました。


ちなみに私はその彼を、「ジョン」と呼びました。仲良くなった人に英語の名前をつけるのは、名前を呼べない恥ずかしさからくる私の癖です(^^)
Commented by ayu_cafe at 2010-06-27 11:07
マーゴさん、いらっしゃいませ。
うわー、live foreverが、イメージのひとから、
live foreverの着信が、鳴るときって、どんな感じなんだろ。
いいおはなしですね〜。
本気で片思いをしたっていうのが、そもそも
素敵です。

珍しく機嫌の良いリアムのパフォーマンス、
涼しげにギターを弾くノエル、ってこれ、
すごく目に浮かんできますね。

マーゴさんのコメントを読んでいると、
彼らの残響って、あまりにも幸福に満ちているんだな、
と思いました。

ちなみにわたしも、名前ってとても恥ずかしく
感じてしまうタイプです。とくに、ネットの
ハンドルネームとかの時代だと、本名って、
裸みたいに感じて、どきどきします。