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*横柄なシマリスとクスクス子ぐま*

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「いったいなんだって言うんだね」
横柄なシマリスは、腰に手をあてて
シマリスからみたら、大きな大きな子熊を
見上げてぷんぷん怒っています。


クスクス子熊は、子熊からみたら
小さな小さなシマリスが
いばって、怒っているのを見ると
かわいくてしかたなくて、
手を口にあてて、クスクス笑ってしまいます。


「だってシマリスさん、小さいんだもの」
クスクス子ぐまは、クスクス笑いながら答えます。

「けしからん、まったくけしからん」
横柄なシマリスは、機嫌を損ねて、
樫の樹の小さな家にひっこんでしまいます。



いつも横柄なシマリスが、機嫌を損ねると
クスクス子ぐまは、蜂蜜を
横柄なシマリスに差し入れます。


そうすると少し、横柄なシマリスの機嫌はなおります。


クスクス子ぐまは、毎日のように
横柄なシマリスの樫の樹の家に遊びに来ます、


横柄なシマリスは、自宅の中で
いつも横柄に食事をしています。

でも、テーブルには、クロス。
おいしそうなパンと飲み物。
栗のデザートまで用意していて
きちんとしています。

「わしのつくるパンは、もっとみんなに
ほめられるべきじゃな、このクルミと蜂蜜が
ふんだんに入ったシマリスパン、
これをつくらせたら、わしの右にでるものは
いないじゃろ」


クスクス子ぐまは、手を口にあてて
クスクス笑いながら、横柄なシマリスの
自慢話を聞いています。



ある日、横柄なシマリスのところに毎日来ていた
クスクス子ぐまが、姿を見せませんでした。

次の日も、その次の日も。


横柄なシマリスは、樫の樹の高いところに
のぼって、横柄にあたりを見回しました。
少し離れたところに、
森がぽっかりとひらけて
湖が、6月の青空を静かに映していました。


横柄なシマリスは、樫の樹の上で(けしからん)と思いました。

横柄なシマリスは、前に
クスクス子ぐまから聞いていた
湖のそばのクスクス子ぐまの家に行ってみることにしました。


帽子をかぶり、ステッキをもって、横柄に出かけました。
でも、ふだんあまり家のまわりしか出歩かない
横柄なシマリスは、不慣れな場所を歩くときは、
あまり横柄ではいられませんでした。



やがて、横柄なシマリスは、クスクス子ぐまの家を見つけ、
ドアを横柄にノックすると
クスクス子ぐまのお母さんがドアを開けました。

横柄なシマリスは、たじろいだそぶりも見せず、
できるだけ横柄に挨拶しました。

「あ、はじめまして。クスクス子ぐま君は、
ご在宅かな?」

「あら、お話は聞いていますわ。わざわざいらっしゃい」
クスクス子ぐまのお母さんは、
クスクス子ぐまから毎日話しを聞いていた横柄なシマリスと
対面して、クスクス笑うのをこらえながら答えました。

「うちの子、熱を出して寝込んでいましてね。
わざわざ来ていただいたのに、ごめんなさいね。」


横柄なシマリスは、
クスクス子ぐまのお母さんを見上げて横柄に答えました。

「ああ、なに、構いません、そういうことであれば。
ただ、ちょっと通りがかっただけのことですので。
うむ、クスクス子ぐま君に、くれぐれもお大事に、とお伝えください」


クスクス子ぐまのお母さんに見送られながら、
横柄なシマリスは、帰ってゆきました。



次の日、クスクス子ぐまのお母さんが
ドアを開けると、そこに、樫の樹の葉で包まれたものが
置いてありました。
家に入ってあけてみると、樫の樹の葉の包みには、
クルミと蜂蜜のシマリスパンが5つ入っていました。



クスクス子ぐまのお母さんは、ベッドで寝ているクスクス子ぐまに
シマリスパンを見せて、
「きっと、けしからん、まったくけしからんって
言いながら、シマリスパンをかついで来てくれたんだね」
とふたりでクスクス笑いました。


クスクス子ぐまは、

「具合がよくなったら、横柄なシマリスさんに、今度は木いちごを
差し入れよう、でも、きっと、横柄なんだろうな」

と思い、口に手をあててクスクス笑いました。







*横柄なシマリスとクスクス子ぐま*
by ayu_cafe | 2011-06-11 04:55 | ayuCafe 創作 Bar | Trackback | Comments(6)
Commented by 利恵 at 2011-06-12 04:24 x
Ayuさん
週末の素敵なおはなしのプレゼント(?勝手に:)ありがとうございます。 うれしい。
ニューヨークも今週末ずっと雨みたいです。大雨っていうよりはしとしと霧雨。めげずに庭仕事します!(めざすはAyu家の庭...って目標高すぎですが。)
Commented by maruyashinobu at 2011-06-12 11:27
久々にパソコンを開き、めぐり会えた幸せなお話し。
またまたごぶさたしておりました。お久しぶりです。
最近不規則な食生活なので、シマリスさんの、クロスをひいたテーブルの、豊かな(時間の)食事を見習わなきゃなぁ。
ayuさん、この物語も描きたいよう(笑)時間にルーズすぎる私ですが(*^ー^*)
クルミと蜂蜜がふんだんに入ったシマリスパン、表面がハリッとしていてツヤツヤなのかなぁ。食べたいです。。

お母さまの、その後の経過は順調ですか?
気にかけてくれる人が側にいてくれるだけで安心できる気持ちはかなり大きいと思います。
ayuさんも睡眠しっかりとってくださいね。
大切な人を大切に想う気持ち、いつも伝わってきます(^ー^)



Commented by ayu_cafe at 2011-06-13 10:23
利恵さん、ニューヨーク、霧雨ですか。。
ぼんやり想像してます、
コメントありがとうございますね。
週末ごとにおはなしが
アップされてたらいいですね。。


目指すは、なんて両親喜びます。
庭、手入れが大変ですけど、
もたらされるものは
大きいですよね。。

Commented by ayu_cafe at 2011-06-13 10:29
まるさん、このシマリスが
出かける格好は、まるさんの
トマトゼリーさんを思い出し
ながら、書いていました。
なので、すでに共作です☆
どうぞどうぞ描いてください。
うれしいです。
おかげさまで母、歩き
はじめています。
あとはリハビリや日々の筋トレです。
ありがとうございますね。
まるさんの個展、行きたいなー。

Commented by まる at 2011-06-13 21:12 x
わおわおっ☆嬉しいです〜〜♪♪♪
生活も一段落してきましたので、そろそろ出版社さんを意識した制作に取り組もうと思っています。
わたし気付いたのですが、構図がワンパターンなんですね。
ぜひともご意見お聞かせ願いたいので、色々相談させていただくと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。

ついついログインしたままコメント書いちゃったので、宣伝したみたいで恥ずかしく思っていたところです。。
(*^ー^*)てへへ
Commented by ayu_cafe at 2011-06-14 07:16
まるさん、ぜひとも。
美味しいコーヒーでも飲みながら。。
フジタの教会や、家のおはなしも聞かせてください。