生きているよりも長い時間、奄美とつながっている。
奄美大島のご夫婦が、
いろいろなフルーツを送ってくださる。
これは、小さなパイナップル。
スナックパイン。
母は、山梨の巨峰なんかをお送りしている。
年賀状も毎年いただく。
50年前から。
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父は、大学を卒業するとき、
旅行をした。
鹿児島から、船で、南下しながら、
ひとつひとつ島をめぐった。
沖縄がアメリカから、
返還されたかどうか、くらいの頃。
もちろん、あまり観光客も来ていない頃。
父がくまなく撮った写真があるけど、
観光どころではない、
土着的な島の貴重な記録になっている。
(この写真をわざわざうちまで
見に来た方もいる。)
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その時、父は、ある島で、有名な洞窟に行こうとして、
島の人に案内してもらった。
案内のひとが、あとは、そこをちょっと行けば
すぐ着きますよ、と言って帰ってしまった。
父は、しばらく歩いたが、すぐには着かなかった。
さらに、だいぶ歩いて、ずいぶん山の深くまで入った。
大きな洞窟があった。
なんとか帰った。
しばらくたってから、「新たな洞窟、見つかる」
っていうニュースが島で流れた。
そのくらい観光地ではなかった。
これは、みかんとオレンジのあいだのような味。
たまらなくすっきりと甘い。
この旅行のとき、父は、奄美で、あるご夫婦にお世話になった。
ご夫婦は、父を、おうちに泊めてくださり、
いろいろお世話してくださった。
小田実さんも泊まっていった、とのこと。。
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そして、父は、働き始め、
その後、奄美には、行く機会を逃していた。
そして、定年の時、母と、再び、奄美から
島々を南下した。
奄美のご夫婦は、旦那様は、亡くなっていたが、
奥様が、まるで、昨日のことにように歓迎してくださった。
その間、50年あまり。
毎年年賀状をやりとりして、
夏の頃に、フルーツをやりとりする。
フルーツが届くと電話をくださる。
50年。
昨日や、今日や、明日や、1年や、10年や、20年って、
まるでひよっこだ。
去年いただいたマンゴーは、
最高に熟していて美味しかった。
生きているよりも長い時間、
わたしは、奄美とつながっているのかも、と思う。