その願いのせいで。*フィンセント・ファン・ゴッホの手紙*
「ぼくは今夜、かなりいい気持ちでいる。
この絵がよくかけたからだ。
何と言っても、カフェテラスを明るい黄色で
生き生きと描けたことが一番うれしい。
カフェのテラスは、店の外に張り出した
天幕の下のテーブル席と店の外壁が、
壁から突き出した灯りで、
あたたかく黄色に照らされている。
立っているウェーターの服と
テーブルクロスの白さも、小さいけれど美しい。
もうひとつ、ぼくが好きなところは、
通りの奥の建物の上に見える夜の空だ。
ぼくはそれを深いけど明るい青で描いた。
教会のステンドグラスの濃紺色を思い浮かべて。
そして、空の星を大きく、
黄色の花が咲いたようにいくつもいくつも描いた、
ぼくはきっと、遠くの星にも、
ここと同じような明るいカフェテラスがあって、
その灯りがここまで届いているのだと、
思っていたのかもしれない。
そしてぼくは、何かの理由で
ここのカフェに来られなくなったら、
あの星のカフェに行こうと
思っていたのかもしれない。
その願いのせいで、
ひとりでにあんなに大きな星を描いたんだ。」
この絵に思い入れがある人はたくさんいると思います。
わたしは上野の美術館で買った、この絵のファイルの中にプリントをはさんで、高校3年間、毎日学校に家に持って帰っていました。
なのでこの青と黄色の絵で思い出すことはたくさんあります。
あぁ、その願いのせいだったんだ。