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剪定の音。

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まぎさんに先月つくってもらった花束を

しばらく、剪定しながら、毎朝楽しませてもらった。

弱ったり、枯れたりした葉や花をこまめにとって、
だんだんちいさくなっていく花束。

このブルー、ほんとうにきれい。



朝、台所で、花瓶からいちどすべての
草花を出して、一本づつ、剪定しながら、
花瓶に生けていく。

パチン。パチン。



その音を、聞いて、ああ、これは、
よく知っている音だ、とあらためて思った。




母は、花瓶に生けた庭の花を
毎朝、台所で、剪定する。

パチン。パチン。

みずみずしい音。美しさをつくる音。
小気味のいいリズム。


どうもこの音を、小さな頃から
聞いていた。


祖母も、よく花を生けていた。
祖母も母も、毎朝、庭でも、
剪定していた。


生活の音、祖母の音。母の音。




母や父の庭の手入れの様子を
最近になってあらためて見ていて気づいたのは、

ここまで、毎日、必用に、手入れ、剪定をするものなのか、
ということ。

弱りかけの花は、すぐ、とって、咲きかけの花を
元気に咲かせる。

あるいは、ほぼほぼ咲き終えたら、
一気に根元から切って、来年のために、
根に、土に、ちからを蓄えさせる。


毎日手を入れる。毎日剪定する。


それは、きっと毎日変化するから。




自分で、台所で、パチン。パチン。と
剪定の音を、身体になじんだ一定のリズムで
たてていると、とても落ち着く。


昔から、よく知ってる音だからというのもあるし、
なにか、これもまた、毎日の生命に関わるリズムだから、
というような気もする。





誰でも、きっと生活の音があるはずで、
そのひとの音、その街の音、その季節の音があるはず。

そういう固有の音やリズムが
そのひとの音楽のような気がして、

どのジャンルの音楽が好きか、というより、
そのひとの生きて来た暮らしの音やリズムが
感じられれば、とても面白いし、
そういう音楽をできればつくりたい。



わたしの音は、剪定の音、なんだな、とふと思う。



剪定、っていうのは、考えてみれば、なににおいても大事だ。


企画書なんて、いかに剪定、するかが肝だし、
キャッチコピー、なんてその最たるものかも。

あと、むくむく成長して来る、余分な自意識や、
とめどない不安や、ナルシステックな悲しみ、
なんかも剪定しないといけない。


逆に言うと、剪定すればいい。

しかも、毎日。


毎朝、ひんやりとした台所で、

パチン。パチン。と。

みずみずしい音。美しさをつくる音。を響かせて、
小気味のいいリズムで。

無言で、
パチン。パチン。と。





剪定の音。_b0072051_8124224.jpg

by ayu_cafe | 2011-10-03 08:13 | 花と樹と庭のこと | Trackback | Comments(2)
Commented by エリコ at 2011-10-05 02:50 x
そのひとの音、その街の音、その季節の音‥いいですねー!
わたし、学生時代に、
存在する音のすべてが音楽だと言ったマリーシェーファーの
『サウンド・エデュケーション』という本に夢中になって
それで教育実習をしたことがあります。
そのせいか、音楽を始める子供達には
自分の音を出す前に、まず周りの音に耳を澄ましてほしいと
思っています。うまく剪定をつづけてゆくと、
前にayuさんの記事にあったように
軽やかなお年寄りになれるかもしれませんね。なんて。
Commented by ayu_cafe at 2011-10-07 08:47
エリコさん、存在する音のすべてが、音楽。
いいですね。
ここにあるすべてが、デザイン。
ここにあるすべてが、文学。
ぜったいに難しいことでは
ない気がします。
細野さんが、以前、母校をたずねて、
授業する番組があって、小学生たちに、
身の回りの音を録音してもってきて、
ってやってました。
軽やかな授業でした。