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立川談志という人工呼吸器がなくなってしまった。

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さっき、7時のトップニュースで、
「立川談志さんが亡くなりました」って言ってた。

立川談志って亡くなるのか?


悲しいとか、ショックとか、じゃなくて、

立川談志という、わたしの人工呼吸器が、なくなってしまった。

困るなあ。



堅苦しく、“正しく”、息苦しい世の中で、
息をすいやすくしてくれた。

セルジュゲンズブールやゴッホやストーンズみたいに。


ものごとは、そんな単純なもんじゃないだろ、
人間は、そんな簡単なもんじゃないだろ、
人間は、可笑しくて、矛盾していて、
悲しくて、愛おしいもんだろ、

と、いちから教えてくれて、
ずっと、息をぬいてくれて、
ずっと、生きることをふくよかにしてくれていた。








「赤めだか」という本の冒頭、
佐々木という中学生が学校の課外授業で、
落語を見にいく。
何人目かで表れた落語家、立川談志は、
落語の演目なんてやらずに、
いきなり、本質を話し出す。




「あのネ、君たちにはわからんだろうが、
落語っていうのは他の芸能とは全く異質のものなんだ。


どんな芸能でも多くの場合は、為せば成る
というのがテーマなんだな。
一所懸命努力しなさい、勉強しなさい、
練習しなさい、そうすれば最後はむくわれますよ。
良い結果がでますよとね。


忠臣蔵は四十七士が敵討ちに行って、
主君の無念を晴らす物語だよな。
普通は四十七士がどんな苦労をしたか、
それに耐え志を忘れずに努力した結果、
仇を討ったという美談で、
当然四十七士が主人公だ。
スポットを浴びるわけだ。


でもね赤穂藩には家来が三百人近くいたんだ。
総数の中から四十七人しか敵討ちに行かなかった。
残りの二百五十三人は逃げちゃったんだ。


まさかうまくいくわけがないと思っていた敵討ちが
成功したんだから、江戸の町民は拍手喝采だよな。
そのあとで、皆切腹したが、その遺族は尊敬され、
親切にもされただろう。
逃げちゃった奴らはどんなに悪く云われたか
考えてごらん。
理由の如何を問わずつらい思いをしたはずだ。


落語はね、この逃げちゃった奴らが主人公なんだ。


人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。
酒を飲んじゃいけないと、わかっていても、
つい飲んじゃう。
夏休みの宿題は計画的にやった方があとで
楽だとわかっていても、そうはいかない。
八月末になって家族中が慌て出す。


それを認めてやるのが落語だ。


寄席にいる周りの大人をよく見てみろ。
昼間からこんなところで油を売ってるなんて
ロクなもんじゃねえョ。
でも努力して皆偉くなるんなら誰も苦労はしない。
努力したけど偉くならないから寄席に来てるんだ。


『落語とは人間の業の肯定である』。


よく覚えときな。


教師なんてほとんど馬鹿なんだから、
こんなことは教えねェだろう。


嫌なことがあったら、たまには落語を聴きに来いや。

あんまり聴きすぎると無気力な大人に
なっちまうからそれも気をつけな!」









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過去に立川談志について書いた記事。


両手に月見草を持って、寂しさを感じ続けている。



歌舞伎座 立川談志・談春 親子会 1



ポニョと立川談志とパフュームの共通点



“もうすぐお前達、散っちゃうんだろ?”










しかし、業の肯定をテーマにしながら、
厳しく、探求のひとだった家元なら、絶対、言うだろう。


「なに?きみは、きみの課題に対する
そのくらいの努力で、
そのくらいの洞察で、
そのくらいの想像力で、
そのくらいの忍耐で、
そのくらいの探求で、
そのくらいの挑戦で、
落ち込んだとか、言いたいの?
その前に、間違ってようが、正しかろうが、
のめりこみ、矛盾に満ちて、
深く豊かに人間らしく生きたかい?」



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by ayu_cafe | 2011-11-23 21:00 | Trackback | Comments(6)
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Commented by つばき at 2011-11-25 04:53 x
このブログ、私のブログで紹介させてもらってもいいですか?
『落語とは人間の業の肯定である』って言葉が印象的です。今夜は、寝ずに、大阪の教育基本条例案に反対する自分の気持ちをまとめてました。かつての大阪の街や教育には、人間の業を緩やかに認める土壌があっただろうと思ったら、なんか、あんな条例作っちゃう人たちのことが悲しくなってきちゃいました。政治にも、教育にも、時として、人間の業が肯定できるゆるみが必要な時があると思います。それを知ることが、生きていくために必要なことだったりする。
Commented by ayu_cafe at 2011-11-25 06:29
つばきさん、
ありがとう。どうぞ、どうぞ。

まさに、ゆるみとあそび、
それがないと、かえって
回転がにぶる。

でもそうゆう世の中では
なくっなってきましたね。
広告をつくっていても感じます。

干からびた“正解”で安心しようと
している。
談志さんは、
自信がない人間は、常識に
頼る、とも言ってます。

誰も自信がなく、誰も
責任をとらない時代。

ゆるみとあそび、は
死に物狂いで確保しなければ、
ならないものなんでしょうね。
彼の、そのための戦いは、
果敢だった。

Commented by つばき at 2011-12-01 13:24 x
ayuさんのこの記事を引用させて頂き、ブログを書きました。
http://bigcamelli.exblog.jp/14065976/
「同じこと、話してた」って人もいて、結構いろんな方々に読んでいただきました。

大阪の地で日々、今、色々考えさせられています。


Commented by ayu_cafe at 2011-12-02 07:53
つばきさん、アップされた当初、
読ませていただきました。
ありがとうございますね。

戦況は、かんばしくないですね。
ま、生まれてからずっと、
戦況はかんばしくないけど。
さて、どう闘いましょうかね。
わたしも、お茶を飲みながら考えます。
Commented by スモークマン at 2012-07-09 03:16 x
初めまして ^^
談志さんの言葉「談志は死んだ」って自分でしゃべってたってな話を読んだもので...サーチしてたらここにたどり着き...不時着できましたぁ♡...だんだん世の中息苦しくなってきてます...彼は最後までタバコも酒もそして一番寂しがりだったはずだから人間を愛し続けたかったがゆえに毒舌を吐き続けたんでしょうよね...勝手なことばかり言ってごめんねごめんねってな感覚は自覚しつつ...☆...
勝手ながら転載させていただきましたぁ〜m(_ _)m〜
http://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/46434388.html
Commented by ayu_cafe at 2012-07-18 07:38
スモークマンさん
ご紹介ありがとうございますね。
芸術、芸能の世界では、極端な
さびしがりやが世界を動かしているのかも
しれません。
毒舌というのは、照れですね、多分。
別の記事の中で、最近歌ってる?
っていう会話、すごく素敵ですね。