『人に褒められようと思っちゃダメだよ。 芸というものは自分を信じて突き進むからこそ磨かれるものだ』
「でも、役者には結果がありません。
その後の判断は、お客様がしてくださるものだしね。
だから、何が何でも稽古を続けて、
あとは自分を信じるしかない。
おじいさん(六代目菊五郎)が亡くなる少し前のことですよ。
病気になって入院しているときに、
お見舞いに来てくれた花柳章太郎さんに、
『章ちゃん、人に褒められようと思っちゃダメだよ。
芸というものは自分を信じて突き進むからこそ磨かれるものだ』
と言ったんだそうです。
この言葉は、どんな瞬間にも僕の心の中にありますね。」
中村勘三郎