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緑の岬

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lyric:

自分の地元のうたをつくった。


子どものころから見ている
この海沿いの景色をあらためて見て、
いくつかの岬をこんもりと覆う緑がとても印象的だった。

緑は、真夏の青い海に痛いほど映えて、
豊かな茂み全体が鳴っているように、蝉が盛夏を謳歌していた。

自分にとっての夏の原風景は、
この海と、横たわる緑の岬だな、と思った。
自分にとっての夏は、緑、だな、と思った。

コートダジュールでも、ノルマンディーでも
アマルフィでも、ロスカボスでも、
岬は、こんな風にのどかな常緑樹で覆われてはいない。

そう言えば、昔、夏は、よく家族で材木座の海岸に
遊びに来た。
お寺の近くの駐車場にクルマを入れて。

そう言えば遠浅だった。

のどかな海岸で、シュノーケリングしたりして、
水から顔をだすと、いつも水面のその先で、
緑ゆたかな岬がのんびり寝ていた。

仰向けに浮かんでいると、緑の岬が波に合わせて上下した。

やはり、夏は、海、というより、海の向こうの
岬の緑が記憶に残っている。

葉山あたりのは、背後に豊かな緑の山を背負っていて
静かな路地がある。
あのサンダル屋さんも健在だし、
あんまり時間がたってないみたい。
品のいいおばあさんが日傘をさして
夏のバス停でかげろうみたいにバスを待っている。

日影茶屋も、路地も、バス停も、
緑のふもとでとても静か。

葉山、日影茶屋、材木座、
みんな緑っぽい言葉。

夏の海辺は緑。

あらためて、そんなことを思ってうたにした。








note:

緑の岬 夏の
海岸で のんびり寝てる

蝉時雨 緑
うみのうねり 緑
風よりも強い
太陽が肌を焼く

ひっそりと 海辺の町の
永遠の午後の風鈴



切り込んだ湾の港で
漁の船がちらばって光る

日影茶屋 緑
材木座 緑
風よりも強い
太陽から逃げ切って

ひっそりと 海辺の町の
簾の奥で金時



緑の岬 耳から
ジュンと落ちる熱い真夏

バス停の日傘
たたづんだ日傘
風よりも強い
太陽のまぼろしか

ひっそりと海辺の町で
髪の毛 すぐに乾く










by ayu_cafe | 2015-08-09 09:21 | メランコリア | Trackback | Comments(0)