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手元の宇宙のバランス。

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「手元の宇宙のバランス」


以前鍬があまりに重いので、父の鍬の動作をiPhoneの動画で撮って検証した。恐ろしく力が入っていない。身体を支柱にした振り子のように鍬を振り、遠心力で鍬に仕事をさせる。鍬の重みは遠心力で効果を発揮するためのものだった。父は力が入っていない、というか、その力のバランスに集中しているよう。だから日常よりもどこかへ行っているように自我が消え、重力と鍬の重みと手の動きのバランスの一部になっていた。心地よい音楽のようだった。父は泳ぐときも同様にゆっくりと水をかき推進し息継ぎ、その繰り返しで延々と泳いでいた。ギターでうたをうたっている時に、そのバランスを感じる。樹々の揺らぎ、うみのうねり、季節の薫り、生きる無常感と高揚感、やりきれなさとやすらぎ、それらが一体となった波動に乗る。それがわたしにとってのうた。文章や写真も同じようにつくっている。万物の波動とバランスに集中する。全然できないが、日常もそうするべきなのだろう。自我よりも、天候と気圧と体調と人間と状況に集中する。すぐに土をすべて掘ろうとしない。ちいさな声に惑わされない。静かに手元の宇宙のバランスに集中する。

まだできない。今日も手にマメができた。



by ayu_cafe | 2022-10-24 12:06 | Trackback | Comments(0)