「どんな目に遭っても、生きていたいです。」
ちょっと前に見たいと思っていた
歌番組をYouTubeで見つけた。
長身の痩せた男が、異様な目つきで、
たんたんとこんな歌詞を歌っていた。
「神様に会ったらこんな風に言うんだ。
どんな目に遭っても、生きていたいです。」
まずいな、と思った。
「人間」見ちゃったよ。
こんな濃厚なものを
ゴールデンタイムなんかに
電波で配信していいんだろうか。
次に演奏したバンドは、フロントの
女性ボーカルが、相変わらず姿勢を正し、
国民をさめた目で見据えながら、
こんな歌詞を歌った。
「美しいのは測れないの、溢れ出すから。」
吉井和哉も椎名林檎も
パリのオランピア劇場で観てみたいな。
エディッド・ピアフが、あの低音で、
「人間」を刻み付けた劇場で。
そして、二人とも死んだら
ペール・ラシューズ墓地に入ってもらいたい。
そしたら冬のあの冷たい空気のなかで、
ふたりの歌詞を思い出しながら散歩できる。